終章 エマ―・シュトレヒムの手記
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新しい世界にたどり着いた。
私は記録をとっておくことにする。
追放された私は、異界へたどり着いた。
私は全てを失ったが、傍には忠実な機械人形だけ残っていた。
機械人形の名前はクレーディア。
私の世界のニエ・ファンデに住む毒の魔女の作ったからくり人形だ。
偶然それを見つけた私は彼女を持ち出し、逃げた。
研究者としてその世界でやっていけなくなったからだ。
私には、故意に死のうとしない限り続く、永遠の命がある。
しかし、だからといってその事実が不安を静まる材料になるはずがない。
これからの私がどんな場所にたどり着くか分からない。
孤独にたった一人で過酷な環境に生きるのは、人間には不可能だ。
だから私は、人形を持ち出した。
人形は決して主を裏切らない。
決して黙ってどこかへいなくなったりはしない。
整備して面倒をみてやれば、与えた分だけ同じ物を、こちらに与えてくれる。
だから私は人形を大事にしなければならない。
この世界は、どんな場所となっているのか。
せめてそれが分かるまでは。
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