心細い援軍
ウォーリスと短時間ながらも激しい激闘を繰り広げていたエリクだったが、右手を斬り落とされ武器を失い、大きな傷を負ってしまう。
そんなエリクにトドメを刺そうとするウォーリスだったが、それを邪魔するように現れた
しかし瞬く間に首の傷を修復したウォーリスは、
その
すると後ろで倒れながら起き上がろうとしているエリクが、背中を見せているエアハルトに声を向ける。
「――……
「黙れ!」
「!」
「コイツは、俺の
エリクの言葉を遮りながら自身の感情に従うエアハルトは、放出する電撃を更に強めながら電光を迸らせる。
そして目の前にいるウォーリスの
ウォーリスはその速度を追える反応を見せながらも、先程までのように距離を置く様子は無い。
逆に襲い掛かるエアハルトを待ち構え、その右手から放たれる電撃の魔力を乗せた
「フンッ」
「ッ!!」
エアハルトが放った全力の
放出されている電撃もウォーリスの肌すら傷付ける事は出来ず、エアハルトは大きく目を見開いた。
しかし戦意を衰えぬ睨む視線は変わらず、凄まじい速さでウォーリスに迫る。
先程と同じように直接的な攻撃ならばウォーリスの肉体を傷付ける事が出来ると知っているエアハルトは、魔力で強化した肉体と牙と爪を用いて近接攻撃を仕掛けようとした。
そして左脚を跳ね上げながら、ウォーリスの顔を吹き飛ばそうとする。
しかしウォーリスは避けようとも防ぐ様子もないまま、その
その瞬間、エアハルトに強い悪寒が走る。
すると脚撃を受けたはずのウォーリスが、まったく揺るがぬ様子を見せながら冷ややかな瞳を向けている事に気付いた。
「なっ!?」
「……邪魔をするなと、言ったはずだ」
電撃を纏わせた自分の
しかし警告を向けても退かなった
「ッ!!」
そしてエアハルトの
凄まじい握力と腕力で持ち上げられたエアハルトは、顔に凄まじい痛みを走らせながら右手で相手の腕を掴む。
しかし爪を喰い込ませようと電撃を放とうとも握力を緩めぬウォーリスは、凄まじい速さで左腕と状態を前に振り下ろした。
すると次の瞬間、エアハルトは地面が割れ砕ける程の勢いで後頭部を叩き付けられる。
その衝撃はエアハルトの意識を一瞬ながらも真っ白にし、その意識を刈り取りかけた。
「……ガ、ァア……ッ!!」
叩き付けられた後頭部から大量の出血をしながらも、エアハルトは諦めぬようにウォーリスの左手を右手で掴み剥がそうとする。
それに対して呆れるような溜息を漏らすウォーリスは、上体を起こしながら左手に掴んでいる
そしてそのまま、投げ飛ばしたエアハルトに左手を向ける。
すると左手に生み出した
「――……ァ……」
魔力球体が直撃しその爆発を浴びたエアハルトは、全身に纏わせていた電撃を全て吹き飛ばされる。
そして貫通するように浴びた爆発が毛を焦がして肌を焼き、白目を向きながらその場から吹き飛ばされた。
木々に直撃しながら地面に倒れたエアハルトは、魔人化した姿から人間の姿に戻る。
後頭部の傷と全身に渡る火傷がエアハルトを瀕死にまで至らせると、それを確認したウォーリスは再び
「邪魔が入ってしまった」
「……ッ」
「
ウォーリスはそう述べながら、自身が握り持つ長剣に膨大な
そしてその場からエリクにトドメを刺そうと、長剣を構えながら振ろうとした。
しかし次の瞬間、ウォーリスの背中に電撃が浴びせられる。
それに気付き再び嫌悪するような表情を浮かべたウォーリスは振り返りながら、倒れていたはずの
「……手心を加えたつもりは、無かったのだがな」
「――……ぐ……っ」
ウォーリスはそう言いながら再び振り返り、倒れながらも右手を向けている
意識を戻したエアハルトはウォーリスに対して、再び電撃を飛ばし攻撃を加えた。
しかしその電撃すら防がずに諸共しないウォーリスは、
「今度は楽に死ねるように、跡形も無く消してやろう」
「……ッ」
「
矛先を向けられながらも動けないエアハルトは、ウォーリスを睨んだまま右手を降ろす。
それを止めようとするエリクだったが、全身に負った傷の痛みと大量に流れている血液の影響で立ち上がる事が出来なかった。
すると無慈悲な
その光に飲まれたエアハルトと共に、地面を抉りながら縦側一直線に伸びる巨大な閃光が森の中を駆けた。
しかしウォーリスの視線は、何かに気付くように左側へ動く。
そして斬撃の光が収まりながら、その場所にある人物達が現れていた。
「――……エアハルト、よく持ち堪えたな」
「……ゴズヴァール……」
「――……後は、我等に任せろ」
そこに居たのは、エアハルトを抱え持つ
そして彼の横から現れるように踏み出して来たのは、元『赤』の
二人は互いに並び立ちながら、目の前に見えるウォーリスと傷だらけのエリクを見据える。
ウォーリスもまたそんな二人を見据えながら、小さな溜息と共に嫌悪の言葉を漏らした。
「次から次へと、よく出て来る」
「……シルエスカ、分かっているな?」
「ああ。……我々が、少しでも時間を稼ぐ」
二人は悪寒が走る程に感じ取れるウォーリスの
それに圧し負けぬように、シルエスカは
ゴズヴァールも腕に抱え持ったエアハルトを木陰に置き、再びシルエスカと並び立ちながら魔力を肉体から迸らせる。
そして肉質を変化させながら
こうしてエリクとウォーリスの
しかしそうした展開になりながらも、二人の戦いを見届けようとしていたアルトリアはただ腕を組みながら介入しようとはしなかった。
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