穿たれる壁
『
アルフレッドが操る人形達は
そんな彼等が窮地に陥る直前、
すると直弟子であるテクラノスに託した『青』は、そのまま神殿の大階段に飛翔しながら向かった。
テクラノスは召喚魔法を駆使し、
そして右手に持つ
『――……!!』
三メートル程の全長で走る銀色の新たな
すると十本の指が魔力の光を灯し、全方位から押し寄せる黒い人形達に向けて魔弾を連射し始めた。
放たれる魔弾によって、
しかし放たれる魔弾の威力は凄まじく、一発命中しただけでも黒い人形達を数十メートル先まで吹き飛ばしていた。
それによって黒い人形達の密集地帯は散らされ、押し寄せる勢いは完全に失われる。
するとテクラノスは周囲に立つ者達に向けて、声を向けながら言い放った。
「
「助かる! ――……行くぞ、バリスッ!!」
「はい!」
「任せたぞ、テクラノス」
テクラノスの言葉に応じ、元
それを追うようにゴズヴァールも走り、
そうした最中、意識を戻した
その容態を確認する
「……っ」
「
「……無様を晒しました。……やれます」
「分かった。――……行くぞっ!!」
「はい!」
そしてテクラノスと
それに対して、黒い人形達の攻勢が止められた光景を投影された映像越しに塔内部のアルフレッドは確認する。
すると迫る五名に意識を向け、その迎撃を行う為に塔自体の
『
黒い塔の表面に再び棘のような砲塔が出現し、そこに巨大な魔力が収束し始める。
その狙いは迫って来るシルエスカ達であり、狙われる側の者達も迎撃が来ることを察した。
そして五秒にも満たない時間で、黒い塔から凄まじい
その威力を知るシルエスカ達は、なんとかそれを回避しようと四散しようとした。
しかし次の瞬間、
「散るな! そのまま走れっ!!」
「!」
テクラノスの声で四散しようとする五名の足が止まると、彼等の前に走り出た五体の新型
そして五体が両腕を前に突き出すと同時に作り出した範囲の広い結界が展開し、放たれた魔力砲撃を受け止めて見せた。
しかし
そう考えるアルフレッドの声が、塔の外部に響き渡った。
『馬鹿め、そんな
「……我の作った
侮りの声を向けたアルフレッドに対して、テクラノスは鋭い眼光と言葉を向ける。
すると魔力砲撃を受け止めた
その黒い装甲が露出されたことで、テクラノスの操る
それは未来で造られた劣化
『まさか、こちらと同じ
「お前達の人形風情と、一緒にするなよっ!!」
『なっ!?』
アルフレッドの驚愕に対して、テクラノスは苛立ちを含む声でそう告げる。
すると前面に展開させた結界で受け止めた魔力砲撃は、結界を通じて
弾くでもなく逸らすでもなく、膨大な魔力砲撃を
それを
更に左右に展開していた別の
そして二体の
すると一体の
そして敵側の砲塔に対して砲撃を逆に浴びせながら、相手の砲撃を完全に押し返した。
そうした光景を間近で見上げるシルエスカや
「これは……こんな
「……やはりコレは、あの時の
「テクラノスめ、こんなモノを作れたのか……!」
「……異国の絡繰りも、やはり侮れんな」
「そうですね……」
テクラノスの造り上げた
一方でバリスの方は、帝国のローゼン公爵領地を襲撃した
ゴズヴァールもまた、魔法師としての技量しか知らないテクラノスが、こうした技術力を持つ魔導師だった事を改めて理解する。
そして
そうした五名に対して、再びテクラノスが叫び伝える。
「任せろと言ったぞ! ……お前達も、使命を果たせっ!!」
「おうっ!!」
その言葉を受け取った五名は、各々に自分達が託された使命を果たす為に動く。
迎撃と防御をテクラノスの
そして全員が顎を上げると足を止めると、黒い塔の
「上は、もう
「いつの間にか、閉じられていたようですな」
「ならば、やる事は一つ」
「私達の
「この
出入り口の無い黒い塔に対して、五名はそれぞれにやるべき事を統一させる。
その手段として各々が身構え、
シルエスカは長槍と短槍を組み合わせて一つの赤槍に組み合わせ、
その傍らでバリスは右腕を伸ばしながら長剣を突き出すと、生命力と風属性の魔力を合わせ練りながら踏み込みを強くした。
ゴズヴァールは右腕に備わる籠手を突き出すように動くと、そこから
更に自身の肉体を瞬く間に魔人化させ、
そして
すると全員が身に着けている
既に全員がエリク達と同様の
「――……『
「『
「月の型、『
「『
「――……オォオオオッ!!」
それぞれが己の全力を発揮し、
シルエスカは赤槍を投げ放ち、それに合わせてバリスが放った生命力と風属性の魔力で形成された突きが
そして
その食い込みを深くするように
それに呼応するように、ゴズヴァールは赤槍の底柄に右拳を打ち付ける。
自らの体重と速度、そして何十倍にも増幅された渾身の拳が赤槍の食い込みを加速させると、黒い
すると次の瞬間、赤槍が奥まで差し込まれたと同時に亀裂部分の
それによって黒い塔の壁面に穴が出現し、それを見た五名は歓喜を見せぬまま穴から壁内へと飛び込んだ。
「行くぞっ!!」
「狙うは、
「そして、敵勢力の
「ついでに、囚われておる
「はい!」
全員は各々に声を向け合い、自分達の役割を改めて再確認する。
そして塔内部の真下から内部を探り、人形達を制御し操っているアルフレッドの討伐を目指した。
それに対して侵入を許してしまったアルフレッドは、自分の居る室内で苦々しい声を漏らしながら呟く。
『……ただの聖人や魔人に
この状況に唖然としながらも笑いを浮かべるアルフレッドは、同じ室内に儲けられている細長い球体状の
するとその内部から外で戦っていたアルフレッドの姿と同じ
更に他にも設置されていた
合計で五体の
『――……侵入者を排除しろ』
アルフレッドが命じる声に対して、その
そして開け放たれた出入り口から出て行くと、それぞれが侵入して来た五名を排除する為に向かって行った。
こうしてウォーリスの側近アルフレッドとの戦いは、テクラノスとその
追い詰められたアルフレッドは自身に残された
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます