混沌の夜
ゲルガルドの魂から肉体の主導権を交代したウォーリスは、『
そして
それを拒否し『敵』となる事を選んだエリクに対して、ウォーリスは悪魔化して対峙する。
そして瞬く間にエリクを瘴気の魔弾で撃ち落として消し飛ばすと、その場から姿を消した。
一方その頃、
目を凝らしながら南下を続ける膨らみを持つ影を見失わないように追い続けるパールだったが、その先に見える赤い光が上空に浮かぶ光景に気付いた。
「――……アレは……!!」
パールが見たのは、夜空を飛翔しながら向かって来る赤い瞳を持った
帝都に侵攻していた地上の
少なからず百を超えるだろうその大群が向かって来る様子を目にし、パールは表情を強張らせる。
突っ込んで来る
しかし一匹一匹が悪魔化しており、凶悪な暴食性と狂気を孕んだ赤い瞳を輝かせ、
それを察したパールは、大声で
「くっ!! ――……炎を吐いて、奴等を蹴散らせっ!!」
「ガォッ!!」
パールはそう命じながら背中側へ飛び退き、背の鱗を掴みながら前を見据える。
そしてパールの言葉を理解しているのか、
すると
「やはり、
「ガァッ」
三匹の中で一回りほど大きかったその
硬い鱗に覆われ樹海で作られた棒槍を弾く
その火力は見た目以上に高く、パールが避けた場所に着弾した炎は凄まじい勢いで燃え盛り、水気を含んだ樹木すら破壊し燃やす程の威力を持っていた。
しかし過去に一度、パールは部族の村を襲った
そして
パールは地形を利用し勝利したが、仮に上空から
絶滅種と呼ばれていた
連発される火炎弾は、体内に持つ炎熱器官を魔力で操作する事で高い威力を維持しながら連発を可能としていた。
しかし飛竜一匹に対して、迫る
更に空中でも小回りの利く小型の
「クッ!!」
「ガォオオオッ!!」
しかし追って来る
「アレは、普通の
「ガォ……ッ」
「どうする……。奴等を全て撃ち落としたとしても、あの影を……アリスを見失う……!!」
パールは背の鱗を掴みながら中空に浮かぶ身体を抑え込み、合成魔獣と大地を走る影を交互に見る。
このまま
かと言って百を超える中型から小型の
それを理解できるからこそ、パールは苦々しく悩む。
そして彼女の思考には、エリクと交えた厳しい会話を思い出していた。
『――……お前には、お前がやれる事がある。この
こう述べたエリクの言葉を聞き、パールは自分が今やるべき事を考える。
そして下降する
「……ッ。私だけでは、どのみちアリスを取り戻せない……。――……
「ガァッ!!」
パールは決断し、自ら撤退を決める。
それに応じる
しかし上空を飛翔する
「振り切るのは、難しいか……!!」
パールは振り切るのが難しいと考えながらも、その対抗策を思い浮かべられない。
そして背後に迫る合成魔獣達を睨む中、突如として広がる一閃が目の前に現れた。
「っ!?」
夥しい数の白い光が上空から放たれ、
的確に命中した一閃は合成魔獣達の身体を貫き、更に身に纏う瘴気と取り払いながら肉体を青く燃やしながら消滅させた。
突如として現れた光に驚くパールは、光が放たれた
目を凝らして見るその場所には、黒い布を纏った何者かが浮かんでいた。
そしてその人物が持つある物に対して、パールは視線を集中させる。
それは白い
「あれは……アレは、でも……。……いったい……?」
パールは困惑しながら
そのパールを見ながら上空に浮かぶ人物は、
「――……まさか、予定より二年も早く
籠る声でそう呟く人物は、迫る
そして先程と同じ閃光を
こうして
しかし新年を迎えたガルミッシュ帝国の夜明けは、人々の恐怖と絶望に満ちた状況を鮮明に映すことになった。
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