巨大な追跡者
両側の壁を破壊し十五メートル以上の頭頂部で赤く単眼を光らせた巨大
『――……』
「全部隊、下がれッ!!」
相手がこちらを視認している事を察したグラドは、大声で兵士達に命じる。
兵士達は巨大
それを追うように二体の巨大
動きは鈍重ながらも歩幅の長さにすぐに追い付かれると判断したグラドは、二台の戦車に向けて声を発した。
「戦車の主砲で、奴の足を狙えるかッ!?」
「戦車部隊!!」
グラドの声に反応した戦車の近くにいた兵士は、その命令を伝える。
それに応じた戦車二台は一時停止し、主砲の角度を調整して巨大
「ッ!!」
凄まじい砲撃音が地下で響き、それに大して表情を強張らせた兵士達は両耳を押さえる。
二つの砲撃は巨大
結果を目視で確認するグラドや兵士達は、巨大
しかしその結果は、兵士達に青褪めた表情を浮かばせるに十分だった。
「――……き、効いてないのか……!?」
「そんな……」
主砲の直撃を受けた巨大
新型の球体
しかしその兵士達の動揺を怒鳴るように、グラドは大声で新たな命令を発する。
「全部隊、撤退を続行しろッ!!」
「!」
「全員がリフトに乗り次第、すぐに地上へ上げるんだッ!!」
「りょ、了解!!」
グラドの声で全員が動揺から戻り、リフトがある方向へ撤退を開始する。
戦車も後退を急がせ、全員が巨大
そして足を止められない巨大
その時、まだ土煙が舞う中を一筋の赤い刃が駆けながら、一体の巨大
「ケイル!」
「……ッ!」
グラドはケイルが巨大
しかしケイルの剣は巨大
「……チッ。コイツ、ゴーレムのくせに分厚い結界を張ってやがる」
悪態と共に舌打ちを吐き出したケイルは、巨大
その攻撃に反応した巨大
踏み付けられる前に素早く動いたケイルは、もう一体の巨大
「――……トーリ流術、裏の型。『
強い
しかし巨大
「チッ」
『――……』
巨大故に他の
その結界が巨体の人型構造すら維持させ、本来なら自重で潰れかねない巨体の稼働を可能にしていた。
再び着地したケイルに、もう一体の巨大
同じように踏み付けようとする巨大
「――……お前等は、さっさとリフトに乗れ!」
「お前さんは!?」
「アタシ一人なら、どうとでもなる!」
「……分かった! 全員、リフトに乗れ!!」
ケイルの声を聞いたグラドは、兵士達に命じながら自身もリフトへ向かう。
その間にも巨大
「……他のもそうだが、この
『――……』
「この
ケイルは
破壊する事が困難ではあるが、動きが鈍重過ぎる故にケイル程の素早さがあれば踏み付けを回避する事は困難。
更に二体の
「……コイツ等、連携をしていない? いや、出来ないのか。……なら、なんで……」
『――……』
「なんで空の
魔導国の
しかし都市の空域を守っていた
しかし、その疑問の答えが浮かび上がる前に準備が整う。
グラド達を始めとした同盟国軍の各部隊はリフトに全て乗り込み、戦車二台も載せられた。
その事を伝える為に、グラドは大声でケイルに伝える。
「――……ケイル!」
「!」
「リフトを動かす! お前さんも来い!!」
「さっさとリフトを動かせ!」
「だが……!」
「早く!」
「……ッ!」
ケイルは巨大
その声にグラドは表情を強張らせながらも、リフトの操作盤を扱う兵士に目を向けてリフトを動かした。
リフトは上昇を開始し、真上へ昇り始める。
それを見たケイルは二体の巨大
「!」
「間に合うか……!?」
兵士達はケイルが向かって来る事に気付いたが、リフトの上昇速度を鑑みて不安の声を漏らす。
ケイルは上昇するリフトを見ながら表情を引き締め、全身と両脚に強く
「――……トーリ流術、裏の型。『
「!?」
そう呟いた後、ケイルが
二百メートル以上あるリフトとの距離を三秒にも満たない時間で詰め、更に凄まじい跳躍を見せてリフトの上へ身を翻しながら着地して見せた。
それから間も無くリフトは両壁に覆われた通用口に入り、巨大
ギリギリの状態で間に合ったケイルが溜息を吐きながら立ち上がる姿に、グラドを始めとした兵士達が感嘆の声を漏らす。
「――……ふぅ」
「……す、凄い……」
「あの距離を、一瞬で……」
「あの高さを飛ぶなんて……」
「――……流石は、三英雄の一人ってことだ!」
畏怖にも近い感嘆を漏らす兵士達に対して、グラドは笑いながらそうした兵士達の背中を叩いてケイルに近付く。
そして軽く頭を下げてから、ケイルに礼を述べた。
「感謝する。おかげで、全員が撤退できた」
「……」
「どうした? 神妙な
「……まだ、礼を言うのは早いかもな」
「?」
ケイルはそう呟き、リフトの下を見ながら神妙な表情を向ける。
その言葉に兵士達は首を傾げたが、グラドも何かに気付きリフトの下へ視線を向けた。
そして二人が気付いたモノに、兵士達もすぐに気付く。
それは下から聞こえる、何かを破壊するような地鳴りのような轟音だった。
「……まさか……!」
「――……全員、地上に戻ったらすぐに建物から出ろ!」
「!」
「あの
「!?」
グラドの声で全員が状況を理解し、焦りを含んだ表情に戻る。
二人が察した通り、ケイル達を追う巨大
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