汐留一家は私以外腐ってる!

折原さゆみ

初めに

 私の家族は、どこかおかしい。いや、どう考えてもおかしいと思っているのだが、私以外の家族がだれも、そのことを気にしていないのが信じられない。


「この新刊、まじやばいわあ。どう思う、ゆうの君。」


「確かに、この展開は予想していなかった。まさか、受けがその場から逃げ出すとは思わなかった。やっぱいいねえ、BL(ボーイズラブ)は奥が深い。」


「どうでもいい。それより、喜咲(きさき)、面白いマンガを見つけたけど、読んでみない。なかなかいいよ。この姉妹百合もの。」



 ある日の私の家族の会話だ。上から母、父、妹のカオス極まりない会話だ。いや、本人たちにとっては、カオスではないのかもしれない。彼らは、これが通常運転なのだ。



 ここで、私の家族を紹介しよう。まずは、私自身の紹介だ。名前は、汐留喜咲(しおどめきさき)、現在高校一年生。普通の高校生だ。家族は変だが、私はいたって普通である。学力はぼちぼちで、県立の大学進学率そこそこの中堅の高校に今年から通いだした。


 趣味は、特にこれといってないが、それでも、今時の若者のように、おしゃれにも興味があって、外出の際は化粧をして出かけたりするし、彼氏だっていたのだ。休日は彼氏とデートしたり、友達と遊んだり、それなりに充実した毎日を送っている。今人気のアイドルだって好きだし、コンサートに行ったりもするのだ。


 SNSもやっているし、友達だって少なくはない。世間から見たら、どう考えても普通の高校生の私に、こんな変な家族がいると、誰が想像できるだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る