第44話 まさかの二股か? (ホロ視点)
今日は朝から床の匂いを辿っていた。
猫になってからやたらと嗅覚が強くなった気がする。
んん?
俺の鼻腔をくすぐる、いやそんな綺麗な表現とは違うな。
鼻を直撃してきたこの匂いだ。
俺は人間の時の記憶もある。
こんなに強烈ではなかったがどんな匂いが、それがどんなものか分かっている。
だけど……悲しいかな習性には逆らえない。
俺はどんな思いをするか分かっていたが、洗面所に続く扉が開いているのを見て、衝動が抑えられず、洗う前の物が入っている洗濯籠に向かって突進した。
猫の習性というやつか、臭いと分っていてもその匂いに吸い寄せられる。
俺は匂いを嗅いだと同時に身体を大きくのけぞらせ、目を見開き口が開いてしまった。
やっぱり臭い。
だけど嗅がずにはいられない。
臭いものは臭いのに……。
その時、洗面所の洗濯籠の隣にある棚の上に置いていた幸太郎の携帯が鳴った。
おおかた、顔洗う時か、歯を磨くときに置いてそのままにしておいたんだろう。
……。
誰からだ、電話か?
……。
俺は気になってその棚に飛び乗った。
着信はメールだったのかすぐ鳴りやんだが……。
俺は見逃さなかった。
メールの差出人が『雪 さん』となっているのを……。
おい、どういうことだ?
幸太郎はやっぱり、雪の事が……?
まさかの二股か?
それだけは絶対許さないぞ?
雪、それにしても何の用だ……?
幸太郎はやめておけ。
あいつの靴下の匂いは思わず口が開くほどだぞ?
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