金髪ツインテールの彼女と付き合い始めて一年が経ちました。

360words (あいだ れい)

第1話

「はぁ……、緊張するぅ……」

 私、樫田依乃李かしだ いのりは今、人生で最も緊張しています。

 高校二年の夏にして、私は、幼なじみであり、初恋の人に、今から告白をするのだから!

 胸のドキドキが止まらない! もう頭がくらくらしてきた。

 私は学校の屋上で、呼び出した彼、佐々乃幸也ささき ゆきやくんを待っています!

 がちゃっ、と、屋上の扉が開く音が鳴って、そちらを振り返ると、そこには幸也くんがいた。

「よう、依乃李。話ってなんだ?」

 私は、深―く息を吸って、大きく吐いた。体の中に空気が残らないくらいに。

 よし! 覚悟は決まった!

 私は、再び大きく息を吸って、

「幸也くん! あの、ずっと前からあなたのことが大好きです! 私と付き合ってください!」

 言った。言ってしまった。何年間も言えなかったこの思いを、やっと伝えられた。

 幸也くんは、驚いていた。

 そんな鈍感なところも。

 照れながら笑うその顔も。

 授業中のとても真剣な表情も。

 家のソファーでグダグダしている姿も。

 ぜんぶ好き。

 ほんとに。大好き。




「依乃李が俺の事をそう思っててくれてたなんて、全然知らなかった。めっちゃうれしい」


「でも」


「俺、彼女がいるんだ」


「依乃李?」


「おい、大丈夫か⁉ 依乃李‼」




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「ふぅ」

 家の玄関に座って、一息つく。

 まさか、依乃李が俺の事あんなふうに思っていた、だなんて知らなかった。

 依乃李は急に倒れてしまうし。

「ただいまー」

 玄関を上がり、リビングの扉を開ける。

「おかえりー幸也、早かったわねー」

 返事を返したのは、リビングの中心にある、大きなソファーに腰を掛けている女性だった。




 金髪ツインテールで、碧眼。イギリス出身の十九歳。俺の彼女。

 エミリーだった。

「あぁ、今日は終業式だけだったしな」

「じゃあ、ついに今日から夏休みってわけね?」

「まぁ、一応はそうなる」

「やったわ! 夏休みを遊び倒して差し上げましょう! それが礼儀ってもんよ、幸也!」

 エミリーのテンションが高い。エミリーは、毎日が夏休みみたいなものなのに。

「まぁ、とりあえず、今週末の買い出し行くか」

「おー!」

 制服から着替えた俺は、うきうきのエミリーと、ともに、俺らはスーパーへ向かった。

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