第17話 魔物の異常発生 4

 私とオリビアは初めての魔物に遭遇していた。


 まだ向こうはこちらに気が付いていない位の距離はあった。


『オリビア、あの犬っぽい魔物が見える?』


 通常なら見えない距離だが身体能力が向上しているオリビアならもしかして見えるかなと思い、試しに聞いてみた。


『うん! 犬っぽいのが3匹いる!』


『正解、確かに見えてるみたいだね。 魔物って言ってもああいう動物タイプは動物が魔力を帯びて生まれた突然変異だから倒すなら首を落とすか心臓を貫くかなんだけど、オリビアの力と魔力剣があれば首を落とす方が安全かな。』


 馬車並みの速度と私の防御力、魔力剣の切れ味さえあればたぶん犬型の魔物は何匹いても余裕だろう。


『スキルは使っていいの?』


『ん? ああ、魔物相手には手加減いらないから全力でいいよ。』


『やった!』


『そんなに全力出したかったの?』


『うん! 力を抑えるとウズウズするの!』


『そ、そうだったんだ……』

 

 手加減は何気にストレスだったのだろうか。


 たまには全力を出させてあげないと駄目かな。


『じゃあ行くよ!』


 オリビアは身体強化【極】を発動させ、超加速により魔物3匹へと一気に近づく。


 うわっ、予想以上に速いぞ。


 そして速度を落とさないまま、すれ違い様に魔物1匹の首を斬りながら駆け抜けた。


 そして切り返したオリビアはまた魔物に向かって走り出した、魔物の背後から2匹の首を落とした。


『いい感じだよオリビア。』


『やった!』


 うん、技術的には素人だけど、それをカバーしてしまうほどにオリビアの身体能力はずば抜けているな。


 ってか魔導が使えてたら確実に前世の私より強くなっていたかもしれないな……


 この現代にも勇者や大天使、魔王達がいるのかは分からないけど、アイツらさえいなければ将来成長したオリビアに勝てるものはいなくなる程に強くなるだろう。


 それだけにオリビアも前世の私みたいに強くなりすぎたっだけでアイツらから命を狙われたら大変だと思った。


 アイツらは特殊なスキルばかり持っているから身体能力だけでは対処が難しいんだよなぁ。


 魔力量さえあれば即殺出来る魔導はたくさんあるんだけど……魔力さえ、ん?


『オリビア、魔力剣を魔物に近づけてくれないかな?』


『ん? いいよ!』


 私はオリビアが魔物に魔力剣を近づけたタイミングで融合の魔導を発動させる。


 ピコン!


【ダークドックの魔石を融合しました。】


 おお!


 魔物には普通の動物にはない点がひとつあって、心臓内に魔石と呼ばれる魔力精製する石があるのだ。


 そして魔導書である私は、魔石と融合させる事で最大魔力量が増えるのではないかと予想したのだけど、見事的中し微々たる量だが最大魔力量が増加したのである。


 これは人がやると人格崩壊してしまう禁忌の魔導だが、魔導書になったわたしには大丈夫だろうという確信があった。


 オリビアに事情を説明して、今後に倒した魔物からは魔石を吸収させてほしい件を伝えるのだった。




 ★ステータス★

 名前 オリビア

 年齢 5歳

 種族 人族

 属性 全属性

 職業 初級剣士

 スキル 魔力操作

     武器強化

     防具強化

     身体強化【極】

     能力成長【極】

     精神耐性【極】

     自然治癒

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