第16話 魔物の異常発生 3
オリビアは透明化の魔導により無事、街の外に出ていた。
『これからどうするの?』
『広範囲探索の魔導が使えれば良かったんだけど、魔力が足りないから使えないんだよな……』
広範囲探索が出来れば数十キロ近くの範囲を一気に探索可能だったんだけど、今の私には不可能なレベルの魔力量が必要になるのだ。
『私の魔力って使えないの? 武器強化みたいに私の魔力を操ってとか。』
『オリビアの魔力を使って実践したスキルは無属性な上に難しくないスキルばかりだったから可能だったんだけど、広範囲探索は難しいし術者への負担が激しいからオリビアにはまだ無理かな。』
広範囲探索は脳に大量な情報が流れてくるので子供のオリビアにはかなり危険な魔導と言える。
仮にオリビアの脳が負傷でもしたら回復魔法でも完璧に治せないかもしれないから、取り返しがつかなくなる。
『ならどうするの?』
『そこでオリビアには1日一方向にひたすら走って欲しいんだよね。 それで数十キロ走ったら引き返して欲しいんだよ。 オリビアの身体能力ならそれくらいで朝までには家に帰れると思う。』
『走るだけでいいの?』
『うん。 魔物の異常発生原因に近づけば私なら魔力の微妙な変化に気がつけるんだよ。 まあ、この方法だと運が悪いとオリビアには何日もかけて調査する羽目になっちゃうけどね。』
街を中心に放射状に走ってもらえれば最高でも20回もやれば異変を発見出来るだろう。
『それは大丈夫だよ。』
『あと魔物と遭遇した時の話だけど、まずオリビアには魔力剣ってのを渡しておくよ。』
『これが剣なの? はじめてみた。』
『私が魔力を剣の形に変形させているだけだから本物の剣とはちょっと違うけどね。 その代わり私の意思で長さや太さも変えられるし重さもないから便利だよ。』
『そうなんだ。 じゃあこれで魔物を倒すんだね。』
『雑魚なら倒して、強そうなら逃げよう。』
『逃げちゃうの?』
『うん。 夜中しか活動出来ないって制限があるし、まだオリビアに強い魔物は危ないから逃げて欲しいんだよ。 弱い魔物になれたら徐々に強いのも倒せるようになると思うよ。』
『分かった!』
オリビアはそう言うとかなりの速度で走り出した。
『ちょ、オリビア! そんなに早く走ったら体力が持たないんじゃない? 数時間は走るんだよ?』
『ん? たぶん大丈夫だよ?』
『えっ?』
既に馬車並みの速度は出てるんだけど、5歳がこんな速度を出せるのも異常だけど、数時間も走り続けられる体力があったら更に異常だな……。
数十分経過……
『本当に速度が落ちないんだね。 大丈夫?』
『うん! 全然平気だよ!』
『予想以上にオリビアの……ん?』
この魔力反応は……
『どうしたの?』
『オリビア止まって! 魔物が近くにいるよ。』
『魔物!』
『うん、小型の魔物だと思うから倒してみようか。』
『うん!』
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