第6話 魔力増幅

 魔法の才能が無かったオリビアに、前世で私が使っていた魔導剣術を教える事になったのだが、まずは魔導剣術を使えるだけの体力と魔力を増やすことにした。


 どうせオリビアはまだ一人で外には出してもらえる年齢ではないから体力作りと魔力増幅位しか出来る事は無かったりするんだけどね。


「とりあえず、室内で出来る事は体幹を鍛える事と魔力増幅しかないんだけど……、まずは魔力増幅からやってみようか。」


「うん!」


「まず、魔力を増やす方法は簡単で若い内に魔力をひたすら消費するだけなんだよ。」


「それだけ?」


「うん。 魔力の増えかたには個人差があるけど20歳位までは魔力が増えるかな。 だから魔法師の家系だとオリビア位の年齢からみんな魔力消費をしているはずだよ。」


「私は魔法が使えないのに魔力は必要なの?」


「ああ、ステータスにスキルってあったと思うけど、スキルの中に魔法や剣術などがあって、全てのスキルは魔力を消費するんだよ。 だから誰でも魔力は多い方が良いんだよ。 まあ、魔力量が増えたらそれだけ魔力操作が難しくなるってのはあるけど、少ないよりは良い筈だよ。」


「……なんとなく分かった!」


「うん、あまり理解出来てないね……、まあ、その内分かれば良いかな。 とりあえず魔力消費のやり方だけど、普通は魔力操作か魔法や剣術で消費するんだけど、オリビアは魔法や剣術をまだ覚えてないから別の方法を教えるね。」


「魔力操作なら出来るよ?」


「えっとね、魔力操作って魔力消費量が微々たるものだから効率が悪いんだよ。 だから効率良く魔力消費するやり方を教えるよ。」


「そうなんだ。」


「まずは……」


 私は自分に変化の魔導をかけ、魔導書から剣の形に変化する。


「あっ、ゾディアの形が変わった!」


「うん。オリビアの職業が剣士だから、剣を使って魔力消費しようと思ってるよ。 じゃあ私を持ってみて、重さはオリビアにちょうど良くしてるし、刃も付いてないから怪我はしないから安心して。」


「分かった。 あっ、軽い!」


 オリビアは私の剣が持ちやすいのか、ブンブンと警戒に振り回してみる。


「じゃあそろそろ魔力消費をやろう。 やることは体内の魔力を循環させる魔力操作に似ているんだけど、剣も手の延長だと思って魔力循環をしてもらうんだよ。 これで武器強化ってスキルを覚えられる筈だよ。」


「そうなんだ。」


「ちなみに武器強化は剣士に必須スキルだから一石二鳥だよ。」


 剣士などの前衛職は武器強化、身体強化、防具強化などが使えて、やっと魔法師などとまともに戦えるものだったりする。


 魔法師の防御壁を突破するのに武器強化、魔法を回避して接近するのに身体強化、魔法が被弾したときに耐える為の防御強化である。


「最初は難しいだろうから、私がオリビアの魔力を操作して感覚を覚えて貰おうかな。 とりあえずリラックスして剣を握ってみて。」


「分かった!」


 他人の魔力を操作するのは本来は超高等技術だけど、魔導王と呼ばれた私にかかればそんなに難しくはない。 まあ、抵抗具合にもよるけど……


 まずはオリビアの魔力を剣に吸収して……


 吸収した魔力をオリビアに還す、更に吸収……


 それを徐々に早くしていき、剣全体に満遍なくオリビアの魔力を循環させる。


 武器により魔力循環率があるのだが、魔導書である私は魔力循環率がほぼ100パーセントだったりする。


「これが武器強化なんだけど、何となく分かった? 分からないようならもう少しやるけど……」


「ゾディア、アナウンスで武器強化を覚えたって流れたんだけど、これは?」


「えっ? もう覚えちゃったの?」


 1回しかやってないのに武器強化を取得するなんてあるのか……?



 ★ステータス★

 名前 オリビア

 年齢 5歳

 種族 人族

 属性 全属性

 職業 初級剣士

 スキル 魔力操作

     武器強化

     能力成長【極】

     精神耐性【極】

     

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