第5話 祝福
私はオリビアの祝福をする為に分身体の魔導を発動させていた。
分身体は本来、術者と同じ分身を作り操るという魔導で、発動自体は難しくはないが本体よりパワーやスピードが落ちる上に操作が難しいので、前世では使う人がほとんどいなかった。
分身体の操作に意識を取られるくらいなら本体が動いた方が楽という感じだったはずだ。
前世で分身体を数十体同時操作していた天才的なやつもいたけど、あれは例外だろう。
「ゾディアって女だったの?」
「ん? 違うよ。」
あれ?
私の性別ってなんだっけ?
……今まで意識した事が無かったけど、言われてみたらどっちなんだろう。
「見た目が綺麗だよ。」
「ふむ……」
私は魔導により鏡のような物を出して確認してみると銀髪の綺麗な女性っぽい姿が写っていた。
「確かに女性っぽいけど、性別に関しては私の記憶には無いから分からないんだよね。」
「そうなんだ。」
「まあ、今回はオリビアの祝福が目的だから私の魔力がなくなる前にやっちゃおう。」
分身体を作り出すのはかなりの魔力を消費してしまうので、長時間維持するのは難しい。
「祝福って何をするの?」
「オリビアは特にやることはないよ。 祝福ってのは世界と接続するための手続きをする魔法だから、時間はかかるけど何もしなくて大丈夫だよ。」
「世界と接続?」
「まあ、そこはいつか話すよ。 オリビアは目をつぶって気持ちを落ち着かせてね。」
世界の仕組みを話すにはオリビアはまだ若すぎるかな、大人になったら教えてあげよう。
私はオリビアの祝福をする為に祈りをささげてから40分近くが経過していた。
本職の神父なら数分で終わるのだけど、私の場合は慣れていないのもあってかなりの時間がかかっていた。
ピコン!
『祝福の儀式が終了しました。』
お、終わったな。
「儀式が終わったって頭の中に声がするよ。」
「うん。 それが世界と接続している証拠だよ。 昔は世界からの声をアナウンスって言ってたよ。」
「へ~、アナウンスって言うんだ。」
「そしたら、次はステータスって念じてみて。」
「うん。 わっ!? なにか目の前に出てきたよ?」
「それはステータスって言ってね、オリビアの情報が書いてある物なんだよ。 本来は他人には見えないんだけど許可を出すと見れるようになるから、私に見せても良いよって念じてみて。」
「うん! 分かった!」
★ステータス★
名前 オリビア
年齢 5歳
種族 人族
属性 全属性
職業 初級剣士
スキル 魔力操作
能力成長【極】
精神耐性【極】
「しょ、初級剣士?」
「初級剣士ってなに?」
「うーん……」
まさか初級剣士だとは思わなかったな。
オリビアに何て説明すれば良いんだ?
「あまり良くないの?」
「すごく言いにくいんだけど……」
「言っても大丈夫だよ。」
「はっきり言うと剣士系は魔法が使えない職種なんだよ。 あっ、でもスキルにある能力成長【極】と精神耐性【極】はもの凄くレアなスキルだから気を落とさないでね!」
スキルにはランクがあり、【初級】から【極】まであるけど、【初級】を【極】にまで成長させようとしたら才能があっても数十年の修行が必要だったりするほどだから、最初から【極】が2つもあるのは超レアなケースではある。
ただし、魔法を使う才能はほとんど無いかもしれない……
「そっか……、剣士だとダンジョンに行けない?」
「いや、剣士でも十分行けるよ。 あとはオリビアの努力次第で魔法が使えなくても強くはなれるよ。」
「なら強い剣士を目指す!」
「よしっ、なら私が剣術を教えるよ!」
「ゾディアは魔導師じゃないの?」
「まあ、魔導師でも近接戦闘が出来ないとすぐに殺されちゃうから、剣術はまあまあ使えるよ。 私の使う剣術は魔導剣術っていう変わったやつだけど、マスターしたら凄い強いよ。」
「魔法が使えない私でもマスター出来るの?」
「うん。 魔力と魔力操作さえ出来れば大丈夫だよ。」
「なら魔導剣術を教わる!!」
オリビアに魔導剣術を教える事になったのだが、こうなったら最強の剣士になれるように鍛えていこうと思った。
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