第3話 魔力
私がオリビアのマスターになって、既に1年が経過していた。
私の予定ではオリビアは既に魔力操作も上手くなり、初級魔術位なら全属性マスターしている筈だったのだが……
今でもオリビアは一向に魔力を感知できないでいた。
『おかしいな……。 全属性の適正があるなら自然と魔力を感知出来るはずなのに。』
『魔力がわからない。』
『お腹の辺りがポカポカしない?』
『しないよ。』
『うーん。 なんでだろ?』
オリビアは適正はあっても才能がないのか?
魔導を使える人には初めて会うから、オリビアの才能が分からないんだよな。
私がオリビア位の時には既に魔導に目覚めていたような気がするんだけど、何が違うんだろう?
オリビアが魔導の適性があるのは間違いないんだけどなぁ。
『わたしにはむりなのかな?』
『いや、オリビアに魔導の適性があるのは間違いないよ。 それが証拠にオリビアの瞳には普通の人とは違う輝きがあるよ。』
『ひとみ?』
『そう。 オリビアの瞳は魔眼って呼ばれるものでね、魔眼保有者は固有の能力と魔導の適性があるんだよ。』
私も前世では魔眼保有者で、深淵と呼ばれる固有能力を持っていて、その能力により魔導王と呼ばれる事になっていた。
『わたしののうりょくはなに?』
『それはまだちょっと分からないかな。 オリビアが職業適性を受ければ分かると思うんだけどね。』
『それはどうするの?』
『オリビアが5歳になったら、教会の神父が教えてくれるはずなんだけど……。』
ってか今の時代にも同じ制度があるのかな?
前世ではほとんどの人が教会の神父から祝福を貰い、神の加護である職業適性をもらえる感じだったんだけど……
前世からどれくらいの月日が経過しているか、現状では分からないからオリビアに変な知識を教えるのも良くないかな。
『あと、いちねん?』
『昔はあと1年くらいだったけど、今はちょっと分からないかな。 まあ、焦る必要はないよ。』
『そっか……。』
オリビアはちょっとガッカリした感じになってしまったが、こればかりはオリビアが自力で魔力を感じて貰わないと後々苦労する事になるはずだ。
それでもオリビアは素直に私が教えたことを忠実に反復して覚えようとしていた。
さてと、私もオリビアに負けないように頑張らないとな。
『ゾディアはまたなにかしてるの?』
『うん、本のままだとちょっと不便でね。 私もオリビアと一緒で魔導を使えないか練習してるんだよ。』
『いっしょだね。』
『そうだね。 だからオリビアも私と一緒に頑張ろう。』
私の場合は正確にはオリビアとは違い、魔導書なのに魔力があるのは分かっているのだけど、使い方が前世とは全く違うので苦戦中という感じだった。
私が魔導の手本を見せる事が出来たならオリビアの助けに必ずなるだろうと考えていた。
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