同級生の美少女が俺を一人にしてくれない!

澤田晃太

第1章

影谷隼太の独白

 もう誰かを信じることなんてしない。

 だって、どうせ裏切られるだけだから。

 だから今日も一人、誰とも会話をせずに一日を過ごす。


 今年の春、高校二年生になった俺に、友達はいない。


 灰色の青春。無気力に、目標もなくだらだらと毎日を浪費しているだけの日々。

 勉強も運動も得意ではないし、そのほかに誇れる特技も特にない。

 だけど、それでいい。

 誰かに裏切られるのは辛いから。だから、なるべく人との関わりを避けて、自分なりに生きていければそれでいい。

 高校生になってからは、そう思って生きてきた。

 話しかけるなオーラを常に放っていると、自然と人が寄って来ることはなくなった。

 正直、最初は一人でいるのが辛かった。

 中学の頃までは普通に友達がいたせいもあり、常に一人で行動するというのは精神的にきついものがあった。

 忘れ物をしても誰かに頼ることはできないし、グループ活動の時は肩身が狭いし、ぼっち飯は当たり前だし、何より寂しい。

 でもそれも段々と慣れてきて、今ではそれが当たり前になった。

 これでもう、誰かを信じることも、裏切られることもなくなった。

 あの時のような辛い出来事を、もう経験する可能性はなくなったのだ。

 そう、思っていたのに――。


「おはよう! 影谷かげたに君!」


 太陽たいよう愛美あいみ。高校二年になって初めて同じクラスになった女生徒。


 ――どうしてこの女は、執拗に俺に絡んでくるんだ。

 

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