25.宿屋での夕食

 しばらくすると、マコトさんがバスケットに入ったパンを運んできた。


 「皆さんこちらはまだ食べないでくださいねー。 食べたら主食が無くなっちゃいますから。」


 「はーい!!」


 そして、もう少し待つと料理が運ばれ始める。


 お腹が空いたので、僕たちも運ぶのを手伝い食卓に料理が運ばれてきた。



 料理は全部で3品+パンだ。


 1品目は「前菜:葉野菜のサラダ」だ。


 キャベツによく似た野菜や、ニンジンがボールに入っており、その上にドレッシングが掛かっている。



 2品目は「メイン:ホクホクイモのシチュー」だ。


 ホクホクイモというのは、元の世界のジャガイモの、この世界での呼び方だそうだ。


 料理前のホクホクイモを見せてもらったが、そのまんまジャガイモだった。


 このシチューは、クリームシチューではなく、ビーフシチューのような色合いだ。


 ただし、ここにビーフは入っていない。



 3品目は「副菜:玉ねぎの塩焼き」だ。


 玉ねぎって、焼いたりすると甘味が出て来て美味しいのだ!


 この玉ねぎは、前の世界と同じようなものだ。



 以上の3品とパンが食卓に並んだ。


 そして最後に、木のコップに入ったビールがみんなに回される。


 うん! メチャクチャ豪華だ!


 

 ちなみにこれ、宿泊料金の中に含まれてはいないようだ。


 値段の決まりはなく、料理を付けたい宿泊客が各々料金を支払い、金額に見合った料金を作るシステムなんだとか。


 僕たちのグループは、事前にハシュードさんが支払いを済ませていたようだ。


 大体1人700Yと言っていただろうか。


 こっちの方が正直言って、宿泊料よりも結構高い。


 まあ、そうは言ってもこれだけの料理があって700Yは安いと感じてしまうが、儲け的にはどうなのだろう?


 未だにこの世界の金銭面は全くだから、700Yの夕食がこの世界的に見て、どのランクにくるのかは、今の僕には分からないのだが・・・。


 そんな事は考えるのはいつでもできるので、取り敢えず今は美味しい料理を頂こう!



 「カンパーイ!!」


 まずはみんなでビールを乾杯する。


 何故かマコトさんが仲間に入っているが、他のお客さんの対応はいいのだろうか?


 まあ、いいならいいけど。


 ゴクッゴクッ!


 「美味い!!」


 このビールは冷えているので、この前の歓迎パーティーの時に飲んだものよりも美味しく感じる。


 試験で疲れた身体に染み渡る!



 ではいよいよ料理にて手を付ける。


 まずはサラダ、上に掛かっているドレッシングは何味と表現すべきだろう。


 シソ風味のドレッシング酢のような感じで、シャキシャキ野菜と良くマッチしていて美味しい。



 続いて玉ねぎの塩焼きを食べてみる。


 いい焼き加減で玉ねぎが少しトロトロになっている。


 そして、玉ねぎのこの甘味がたまらなく美味しい!


 味付けは塩のみだが、この素材そのままの味を楽しむ、この世界のスタイルは好きだ!



 そして、メインのホクホクイモのシチューも食べてみる。


 おお! 何だこのソースは!?


 まるでデミグラスソースのような味がするぞ!


 秘伝のソースか何かなのか??


 様々な旨味が凝縮された、そんな感じの絶品のソース。


 そのソースとホクホクイモが、合わないわけないじゃないか!!


 「んん~!! メチャクチャ美味しい!!」


 「でしょでしょ!! このソース、自慢のソースなんだ!!」


 「こんな美味しいもの作れるなんて、マコトさんをお嫁さんにしたいくらいですよ!!」


 「嬉しい事を言ってくれるじゃないかー!!」



 気分を良くしたのかビールをサービスしてくれ、結果とっても楽しい夕食になったのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る