19.宿屋の店主 マコトさん
「すいません! 今晩お部屋の空きはありますか!?」
宿屋の扉を勢いよく開け、僕たちは一斉に声を放つ。
それに驚いて一歩後ずさりする宿屋の店主、しかし、僕たちが客あると分かると、我に返り質問に答える。
「い、いらっしゃいませー! お部屋でしたら空いておりますよ。」
「よっしゃー!!」
店主そっちのけで僕らは喜び合う。
すると・・・。
「あ、あのー・・・ご宿泊は・・・?」
「あ、すいません! よろしくお願いします! 取り敢えず5日間いいかな?」
ハシュードさんが尋ねる。
5泊もするんだ、小さい村なのに結構長居するんだなー。
「5泊ですね、1泊1,000ヨークのところ、連続割り適用致しますので、5泊で4,000ヨークとなります。」
おお! この世界にもこういう割引とかあるんだ!
これ、結構お得である。
1泊分タダになってしまったのだから。
「4,000ヨークちょうどですね。 ありがとうございます! では、お部屋に案内しますので、後に続いてついてきてください。」
お得だなーなんて考えていると、ハシュードさんが料金を払い終えたところだった。
部屋に案内された。
「こちらのお部屋になります!」
部屋の中には、見るからにフカフカなシングルベッドが3台並んでおり、部屋の隅には、机や椅子も並べられており、机の1つには鏡が置かれている。
まあまあな広さがある。
それと、ちゃんとベッドが3台あってよかったよ。
いくらほとんど同年代とはいえ、男同士3人で同じベッドにとか、おかしくなってしまいそうだし、何より狭いしね。
「あ、申し遅れました。 僕はこの宿屋の店主をしております、マコトと申します。 何かございましたらカウンターか部屋におりますので、お声掛けください。 それではごゆっくりどうぞ。」
そう言って宿屋の店主 マコトさんは部屋を去って行った。
さて、まだギルドに行く夕方までは時間がある。
どうするかというと、一同長旅で疲れ切っているのだ。
フカフカのベッドでゆっくり眠る事になった。
ちなみに、マコトさんに夕方に起こしてもらうようには伝えてあるので、安心して眠る事が出来る。
ベッドに飛び込んでみる。
「んん~。」
おお! 毛布だけでなく敷いてあるマットまでもフカフカだ!
その感触をしばらく楽しむ。
そうしてしばらくすると、毛布を深く被り深い眠りに落ちていったのだった。
久方ぶりのベッドだ。
もう、一瞬でグッスリと眠ってしまった。
どのぐらい眠っていただろう、身体を揺すられたことで目が覚めていく。
何だろう? そちらを振り向き、ゆっくりと目を開けていく。
すると、それでもなお必死に身体を揺すってくるマコトさんと目が合った。
「あ、ようやく起きてくれた! 相当疲れ切ってるみたいで、全然起きてくれなかったんですよ。」
「ごめんね、あ、もう夕方なのか。 ありがとう。」
「どういたしまして。 何か用事があるんじゃなかったんですか? 暗くなる前に行った方が良いですよ。」
「そうだったや。 うん、そうするよ!」
僕はハシュードさんを起こし、ギルドへ向かう支度をする。
ちなみにこの時、カイトは寝たままだ。
わざわざ起こして連れて行かなくてもいいから、ゆっくり寝かせてあげるのだ。
「ハルトくん、準備は出来たかい?」
「はい! バッチリです!」
と言っても、特に準備も何もないのだが。
「よし、それじゃあ行こうか。」
僕とハシュードさんは、冒険者ギルドへ向かって行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます