消滅へ

月白藤祕

平穏な毎日。


いつから狂い始めたのだろう…私の平穏な世界。


それは、ずっと昔、王様が村の娘に恋をしてしまった時かもしれない。それは、これから先の、偉い人たちが決めたことなのかもしれない。それとも現在の…ああ、いや、今はそんなことはどうでもいいことなのかもしれない。だって、今まさに目の前で起こっていることなのだから。


私はいつも夢を見た。それはとても幸せな夢。ふわふわしていて、温かな夢。幸せな気分に浸りながら、お母さんの呼ぶ声で目が覚める。そんな毎日。

目を覚ますと大きな窓から日が差す部屋を見て、朝を感じる。ああ、また朝がきた。そう思うのは、いつも通りだと思わせてくれるからだったのだろう。

私は布団から出て、そのまま一階へと降りていく。お母さんにおはようと挨拶してから、リビングに座り込み、情報番組を何も考えずに見る。しばらくして、体にエンジンがかかってくると、洗面所へと行く。歯を磨いて、髪を一つに結び、顔を洗って、服を着替える。身支度を整え終わる頃には、家を出る時間が迫ってきているので、食パンをかじりながら学校に行く準備をするのだ。そうして、家を出る時間を1分超えて、駅まで車で送ってもらう。

学校に行くと友達と、明日には忘れてしまうようなたわいのない会話をし、いつも通りを演じる。違うことが起きることをどこかで恐れていたのだろう。だから、友達とのたわいのない会話がとても楽しく、安心する。

学校が終わると、少し遠い駅まで早歩きで向かう。これもいつも通り。脛の辺りが痛くなろうがお構いなしだ。毎日同じ電車に乗らねばならないのだから。

家に帰って母に今日の出来事を話し、夕飯を食べる。家族でバラエティ番組を観て、お風呂に入り、寝る支度をする。寝る前に少し勉強してから夢の中に行くのだ。


そうやっていつも通りを繰り返して、"平穏な毎日"を守ってきた。


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