第15話 二人のストーカー
「うふふふふ、あはははは、おーーーほっほっほっほ」
昼休み……純が来ないなあと思っていたら、うるせえ奴が俺の目の前に立っていた……。
「ハイハイおめでとう……」
「あはははははは、負けを認めるのね!!」
長く煌めく金髪をパサリと後ろに払うと、その可愛らしい顔をくしゃりと歪ませながら笑う城島……最近静かだと思っていたが、さっき張り出していた実力試験の結果を見て久しぶりに俺の前で高笑いをしにきた。
「いや、別に張り合って無いし」
前にも言ったが俺は年上でしかも入学早々内進組の一人を血祭りに上げた凶状持ちだ。
それ故俺に話しかけて来るのは純と元会長と……そしてこいつくらいだった。
こいつは何故か俺に張り合って来る……特に勉強に関して俺に喧嘩を売るかの如く毎回毎回勝ったの負けたのと言って来る。
それでも1年の頃はいい勝負だったのでこいつもここまで剥きにはなっていなかった。しかし2年に上がって授業が大学受験のカリキュラムに変わると、やはり自力に勝っていた俺の方に分があったらしく、ここの所城島の連敗が続いていた。
「ふふふふ、遂に私の時代が来たのね、あははははははは」
「いや、お前が上がったわけじゃなく俺が落ちただけだ、時代が欲しいなら俺じゃなく純……Aクラスの佐々木に勝てよ」
「嫌よ、あんなチート相手にしてたらこっちの身が持たないわ、私は勝てる相手としか勝負しないの!」
「うるせえよ、良かったな勝てる相手で……」
純はその頭の良さで俺と同じクラスになれないって嘆く程、余裕で学年トップの座についている。もう不動のトップとして君臨しており、誰も対抗するって気にならない程の完璧超人ぶりを発揮していた。
「さあ、な、何をして貰いましょうか!」
「…………は?」
「私が勝ったらなんでもするって言いましたよね?」
「いや……言ってませんけど?」
「そ、そこは……言ったって言うべきじゃないかしら」
「いえ言ってないので……」
なんだこいつは? 一体何が言いたいんだ?
俺の頭の中はクエスチョンマークで一杯になる……。
「そ、それじゃあ、今度の期末で私が勝ったら……ひ、一つだけ私のお願いを聞きなさい!」
「……いや……何故に?」
「あれ? おかしいわ……大きな交渉の後に小さな交渉をすれば上手く行くって聞きましたのに……」
それってドアインザフェイスって交渉術の事か? 俺の前で言ったら意味ないだろ?
「えっと……ダメ?」
急に可愛く言うのも交渉術の一つか? 俺は悩んだ……今回のテストはボロボロだった……当然だ1ヶ月近く殆んど勉強していなかったんだから……。
「俺に何をさせたいんだ?」
「……内緒……勝ったら言う」
一体突然なんなんだ……でもそろそろやらなければ……負ける気はしないし別に受けても良いかも知れない。それが切っ掛けになれば……。
「じゃあ……俺が勝ったらどうするんだ?」
「……ふふふ、な、なんでも聞いてあげるわ、無論エッチなお願いもね!」
「言わねえよ!」
こいつ教室でなんて事言うんだ! 俺は慌てて周りを見回すが、昼休み後半の為か教室は人も疎らで誰も俺達に注目している奴等はいなかった。
「とりあえず交渉成立ね!」
そう言うと城島はスキップする様に自分の席に戻って行く……一体なんだったんだ?
とりあえずやらなければ……詩ちゃんを諦めたわけじゃ無いけれど……。
俺はトイレに行こうと席を立ち教室の外に……
「うお!」
「あ……あら、偶然ね」
「いや偶然て……」
扉を開けると元会長が目の前に立っている……え? 何? ストーカー?
生徒会長の時からこんな事が多くあったけど、引退してからはどんどん酷くなって来ている……。詩ちゃんを探す為に街をうろついていた時も何度か会ってるし……何故詩ちゃんに会えないでこいつに何度も会うんだ? って思っていたけど……俺は本気でストーカーされていんではと思い出始めた。
「えっと……な、何か困った事はないかしら、例えば勉強とか……良かったら教えたりしますけど……」
「いや、大丈夫です……」
「そ、そう…………えっと困った事があったら何でも言ってね」
「……はあ?」
「…………じゃあまたね」
「……はい……」
元会長は少し残念そうに帰って行く……。
なんだこの展開? らのべ主人公じゃああるまいし、突然惚れられるとか無いよな?
「じゃあ一体……なんなんだ?」
廊下ですれ違う者の殆んどに挨拶をされ、笑いながら周りに手を振っている元会長の後ろ姿を俺はじっと眺めていた……。すると……どこかで見た事がある様な……何か重大な事があったような……そんなデジャブの様な物を感じていた。
【あとがき】
フォロー、★レビュー、♥エピソードに応援ありがとうございます。
引き続き応援よろしくお願いいたします。
特に★レビューをよろしくお願いいたします。m(_ _)m
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こちらも合わせてよろしくお願いいたします。
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