SHIROBAKO 劇場版

　アニメ業界の実態・裏話・四方山エピソードを硬軟交えたテレビアニメ作品「SHIROBAKO（シロバコ）」の劇場版です。

　主人公・宮森あおいの職業が制作進行でして。

　この制作進行という職種。

　アニメ会社ではなくてはならない「歩」駒なのです。

　アニメ制作で発生する膨大な作画の運搬・管理、及び全体のスケジュール進行を把握して、遅延が発生すれば同僚や時には別会社に助力を頼むという業務までこなす、極めて重要なハブ（中継拠点）職種でありまして。

　このようにスケジュール管理に責任をもって関わるが故に、ほぼ全ての部署に人脈が出来ますので、経験を積むとプロデューサー（企画責任者）を任されるにまで出世する「歩金」駒でもあります。

　アニメ会社を語る作品の主人公の職業として、監督や花形の原画よりも相応しいのが制作進行なのであります。

　かつて制作進行だった筆者が言うので、間違いありません（一ヶ月だけだけど！）。

　この主人公を中心に、アニメ会社の群像劇を描いて高評価を得た作品の劇場版です。

　テレビアニメを見た時からのファンですので、早速行って参りました。

　冒頭、懐かしのアニメ会社ムサニ（武蔵アニメーション）メンバーが全員集合、と見せかけて、人がすっかり疎らになった挙句、関わった作品がエロコメ方向に魔改造された続編の下請けという惨状を描写。

　四年でここまで落ちぶれたら、そら主演声優の木村珠莉さんが台本を読んだだけで泣くわ。

　散ったメンバーが再就職先で活躍したり成長したり落ち込んだままだったりと、切ない気持ちにさせたところで、ムサニ（武蔵アニメーション）に劇場版アニメの案件が。

　納期は相場の半分を切り、十ヶ月。

　「サイレントメビウス２」より期限が短い上に、作品のタイトルしか決まっていないという、修羅場の匂いしかしない案件。

　決意を固めた宮森が、かつての仲間達を集めていく訳ですが…

　はい、ここから先は、観た人だけ進むように。

　ネタバレと新型ウイルスは、可能な限り避けようぞ。

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