ジョジョ・ラビット 後編 ジョジョの絶妙な冒険

 映画観たー?

 ちゃんと映画を観てから、ここを開いたのかー?

 本当にー?

 君のお母さんに誓えるかー?

 オードリー・ヘプバーンに誓えるかー?

 ジョジョ立ちしながら「ユダヤ民族はああああ!!!! 世界一いいいい!!!!」って叫べるか〜―!?!?

 最後のは、全然関係ないです。






 やはり、無傷で済むコメディではなかった。


 ヨーキーの「ヒトラーは自殺したよ。ヒトラーは、裏で悪い事を沢山していたみたい。僕たち、間違えたかも」の台詞に、日本との違いを感じたり。

 日本の戦争映画の場合は、悲嘆や哀愁はあっても、反省と謝罪はあんまり無いし。戦争を自然災害のように捉えている風が。戦争が人災だという感覚が乏しい作品が多い。あまりアーリア人っぽくないのが原因かも(笑)


 ゲシュタポの「君の盲目的な愛国心は、皆の見本だ」のセリフには笑ってしまったが、観賞後に物凄く怖いセリフだと気付いて愕然。

 あの段階では、戦況が絶望的だと大人達は分かっている筈で、それでもヒトラーのポスターを部屋中に貼りまくるジョジョへの爆笑は、どこまで嘲笑か自虐か。

 ナチスの方針が全否定される時が近付いても、ユダヤ人狩りを辞めないゲシュタポと、面従腹背でエルサを見逃すクレンツェンドルフ大尉の対比。


 事前の想像以上に笑い、疵痕を刻まれた。

 笑いつつも、つい日本の大戦末期と比較してしまって。



 非力で逃げ回って戦争を生き延びたジョジョでも、最後にアドルフ・ヒトラー盲目的な愛国心を蹴り飛ばして決別したシーンを、噛み締める。

 そして訪れる、生きる喜びから沸き上がる踊りのラスト。

 

 最後に引用されるリルケの詩の通りに、映画は幕を閉じた。

 笑いと恐怖を絶妙に繰り返し、絶望ではないシーンで。

 見事です。

 見事な戦争コメディ映画です。

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