第弐話―復讐の鬼と優しすぎる少女の邂逅―
異世界転生しチート能力、煉獄の焔を扱う
「ガハッ!?・・・・・ハァ、ハァ・・・ぐっ!」
体には強く握られたような痛みが走る。骨は
最初にガロンダーラが討ち取った異世界転生したルーク・リチャードの
アンノーンオーブと呼ばれるチート能力で創られし青いマントの[アルティメットマント改]を煉
獄の焔に耐えて焼失した。
(あらゆる攻撃を防ぐ世界最強の盾もここまでか)
ガロンダーラもアンノーンオーブを持つ例外の存在。それは
[
そこで神はガロンダーラに与えられた。異能の能力。疾風迅雷は知覚、身体を数倍にする異能。
別の言い方をすれば世界のスピードを遅らせる能力。しかしデメリットは大きい。体と脳の負担が大きく
「同じ墓か・・・約束したが
どうしたものか」
ここ悪魔の領地で墓を建てれば荒らされること確実。
されどこのままにするのも報われないすぎる。
「仕方ない。かなりバカなことだが・・・」
ガロンダーラは有馬颯牙とマリヤの武器の剣と弓を回収。
エレナとガイアに前へと歩き止まると、右手に持っていた弓を地面に置いた。次に鬼は
「二人は死んだ。同じ墓に埋めることだな」
「・・・こ・・・・この人殺し・・・」
鬼は次に倒れているガイアに解毒剤を 口を乱暴に入れると
「あのアンノーンオーブの使い手が倒せなかった俺におまえが倒せるのか?」
「・・・そ・・・それ・でも!」
倒れた幼いエルフは震える手足をおもむろに動き立ち上がる。
目には憎悪で支配された鋭さ、
その一方で深い
「
詠唱。放つは八大元素の一つに数えられる
「遅い!」
回収した有馬颯牙の剣を抜き
鮮やかな緑色の上段斬りで一刀両断。
「輝けぇぇ[グロリアス]!!」
「・・・・・」
今度は斬撃せず右に地面スレスレの
「ちっ!」
後ろに振り返る鬼は命中の直前にアンノーンオーブ疾風迅雷を発動する。知覚と身体能力を3倍。
遅くなった一条の光を左に
「輝けぇぇぇ[グロリアス]!」
鬼の俊敏力に加え疾風迅雷は速かった。右に走り避ける。
距離はどんどん遠くなっていく。
「ああっぁぁーー!輝けぇぇ[グロリアス]!」
姿が小さく見える距離になると命中率も激的に落ちてしまう。思考もできないほど怒りに支配されたエレナは何度も何度も放つ。
「輝け[グロリアス]!」
森に入って鬼の姿は見えない。
それでも何度も放っていけばいつか当たると信じて。
「やめるんだエレナ」
右手の甲を優しく重ねて制止するはガイア。
「離して!あいつだけは――」
「その前にマナが
「そんなの・・・初級魔法ぐらいで」
「止めないと永遠に唱え放つだろう。それに・・・二人をソウガとマリヤをこのままにしたくない」
エレナは力尽きるように顔を下げる。納得してくれたかとガイアは微笑を浮かべる。内心は怒りが
「あ、ああぁぁぁぁーーー!!」
エレナは杖を強く抱き青空に向けて泣き叫ぶ。哀しみと怒りは決して消えてなくらない。
そして、逃げきた鬼人ガロンダーラは木に
「がハッ!ハァ、ハァ・・・」
解毒剤で回復した二人は
それよりも煉獄の焔に回避するときと近づいたときも怒り狂うエルフなどに使った疾風迅雷のダメージが大きい。
「それと奴らが無事に帰れるまでは隠れていかないとなぁ」
復讐相手である異世界転生者を討った。その討った本人の頼みを果たさないと気分が悪い。
「・・・ただそれだけだ」
自分にそう言い聞かせるように独白する鬼人だった。
ガロンダーラは
「悪魔族の領土から西に
誰にも聞いていない繁みに隠れながら独り言。鬼人と亜人の境目で
ある場所で鬼は約束は果たしたと心中で背負われた少年を見て。
こんな場所では
「・・・・・悲鳴?いや掛け声か」
見送ってから数時間が経つ。夜の
鬼人の領土は基本的に強い。生息する魔物ごときに殺られたりしない。なら考えられるは――
「異世界転生者・・・アンノーンオーブの使い手がいる!」
枝を踏む音など立てずに音のした方へ走る。一日で連続の2回も遭遇に疾風迅雷に耐えれるか不安があった。しかし聞かなかったことにする選択肢は最初からない。
村を燃やされた、あの日から。
「やあぁーー!」
距離が近づき今度はハッキリと聞こえる距離。しかし脱力しそうな掛け声であった。
(戦闘や狩りに秀でた種族の鬼にしては
理由は検討もつかないが油断大敵。山に
今回も慎重に木から木を移動。身を低くして
警戒し周囲を見渡すと・・・ガロンダーラは見た。純白の魔法使いローブした少女が
(相手は
少女は虫を殺さない環境で育ったためか魔物を倒さないといけないと使命があっても
攻赤スライムは身体を中央に膨らませると飛ぶ。体当たり攻撃の
「きゃあぁぁ!!」
赤スライムの体当たりに
体当たりと言っても強い衝撃もなく転倒がせいぜい。さらに弾力もあって柔らかいと体当たりを受けた人は大抵はそう思うだろう。
「やだ・・・やめて・・・・・」
スライムは好機と思い果敢に体当たりで執拗的に果敢に攻める。
「やめ・・・・・やめてください」
(もしここで飛び出せば転生者が隠れているやもしれない。
だから
こうも一方的に攻撃を見ていると憤りを覚える)
背中にある槍の柄を握る。
樹木に身を低くして潜んでいた鬼は出て走る。
赤スライムは気づいていない。
少女は頭を押さえ身を守る。
鬼は一番、近くの赤スライム一体を
ニ槍をクロスにして
「安心しろ。すぐに終わらせる」
「えっ?」
俺は距離を取ろうとする赤スライムを走り2つの槍で突き刺す。
「フンッ!」
プルンッと破裂する。2体目。
「次でラストだ」
振り返り顔の表情がないが絶望したのか赤スライムはそのまま
佇むだけ。それを走って突き刺す。最後も2体目と同じ末路を辿る。少女は助けが来たと胸をなでおろす。
「あ、あなた・・・は?」
その問に対してガロンダーラは。
「俺の名前はガロンダーラ。
種族は
振り返り槍を背に戻し少女を見下ろすガロンダーラ。
「わ、わたしは
しゅ、種族は人間です!」
立ち上がった内ケ島椛葉は頭を軽く下げ自己紹介した。
少女はもじもじと上目遣いで鬼を見て鈴を転がすような声で言う。
「わ、わたしなんか食べてもおいしくありませんよ」
「・・・・・はっ?」
唖然となる鬼ガロンダーラであった。
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