第3章 第4話 魔法解析はディータちゃんにおまかせ!

 面倒なランクを押し付けられましたが、条件付きで受ける事にしました。


 それにしてもランクを決めるのに揉めるなんて、冒険者ギルド上層部はひょっとして暇なんでしょうか。

 面倒になったら逃げてしまいましょう。


「私この依頼うけるね」

「俺はこれにしよう」

「あ、アズベルずるい、私も狙っていたのよ? もう、じゃあこっちにするわ」

「これ」

「私はこれだネ!」


 そう言って残り物の熟練パーティー向け依頼を個人が受けました。

 ……この風景を見たら揉める気持ちもわかる気がしてきます。

 私(達)はやる事があるので、また工房に籠りましょう。


 


 家に戻ってまずした事は馬車の改良です。

 細工スキルで作成できる物が増えたので、一気にバーションアップさせました。

 ふふふ、みんなが戻ってきたら驚くでしょうね。


 キャラクターチェンジ

  ユグドラ

 ⇒ルリ子

  しずか

  番長

  ディータ

  メイア

 ◆ しずか ⇒ ルリ子 ◆


 体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。


「さて、次はアタシの出番だねぇ」


 居間のソファーに足を組んで座り、魔法の書を足の上に広げる。

 第9グループの魔法、ゲーム時代には無かったものだが、以前から解読は進めているが一向に進まない。

 魔法の書の最後の方に追加されたルーン文字は相変わらず難解で、どうとでも解釈できる書き方をされているため、トライ・アンド・エラーの繰り返ししかない。

 全く、もう少し解読する人間の事を考えて書けってんだよ。


 結局解読できたのは全8種類中2種類。1つは不完全だ。

 どうやら1つは術者をヴァンパイアにして能力を向上させるもの。

 もう1つは対象を恐ろしい化け物に変身させるもの、のようだ。


「数時間かけてもこれだけか……やっぱり専門家に任せた方が良いねぇ」


 キャラクターチェンジ

  ユグドラ

  ルリ子

  しずか

  番長

 ⇒ディータ

  メイア

 ◆ ルリ子 ⇒ ディータ ◆


 体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。

 肩より少し長いウェーブのかかった薄い茶髪を左右の耳の後ろ上で少しだけまとめ、アクセサリーを多数つけてカラフルな衣装を着ている。キラキラの短いスカートとキラキラのノースリーブが軽薄さをかもし出してる。


「はいっ! ディータちゃんでっす!」


 わっふぅ~、新魔法だよ新! オニューマホー! まほまほー。


「さあ新たな力よ! 今日こそ私の前に全てをさらけ出すのだ!」


 魔法の書をテーブルに置いて順番に調べてく。

 

 数時間後。

 ヴァンパイア・インクルージョン・・・術者がヴァンパイアに変身して身体能力アップ。特に魔法系の能力が上がるが、アンデッドになるため対アンデッド攻撃に弱い


 ドレッドフル・ビースト・・・指定した相手を恐ろしい化け物に変身させ、体力や攻撃力・防御力を飛躍的に向上させる。しかし知能が低下し魔法が使用不可能になる。


 レンジ・ヒール・・・一定の範囲内の味方を回復する魔法 回復量はグレートヒールなみ。


「あ~……疲れた……まじかよ、やっと3つて、ディータちゃんの頭脳をもってしてもこれが限界とは……うひひひ、まだ半分以上あるじゃん! 楽しみ過ぎて脳汁垂れ流しそう!」


 ソファーでゴロゴロ転がってたら床に落ちた。


「あいた! んも~おにゃのこのお肌は柔いんだから気おつけなきゃだね」


 さーて次の呪文はっと……ぐぅ~~。と、どこかから音がした。

 なに? どこ? はっ! まさか侵入者!? かわいいディータちゃんを狙う不届き者か!?

 ぐぅ~、ともう一度お腹が鳴った。

 お腹空いた。よく見りゃ外真っ暗じゃん、夜ご飯たべよっと。


「よし! 自炊なんて高尚な物はできません! お店にれっつらご!」


 


 随分夜も遅くなったけど、王都の夜はまだまだ序の口。

 なーに食べよっかな。

 ……よし! あのお兄さん達に決めた!


 肩を組み千鳥足で歩く3人組に声をかけた。


「はぁ~いお兄さん達、ディータちゃんねお腹空いてるの。何か食べさせてくれたらいいぃ~事して、あ・げ・る♪」


 唇に人差し指を当ててゴチになろうとしたけど……なんで目がぎらついてるかな? かな?

 でもまぁおごってくれるって言うから付いて行った。


 連れていかれたのはガラの悪い男共が溢れかえる居酒屋。

 うーん安酒かぁ、おごりだからいっか。




「おっちゃーん、これおかわり~、あとコレとコレと、あとコレもー」


 お兄さん達に飲め飲め言われてジャンジャン飲んだ。

 ひぃふぅみぃ……30杯くらい? まだまだこれからだね!


「ほらほらお兄さん達、寝てないで飲もーよー。おっちゃーん、お兄さん達にもお酒ねー」


「ぐっはっは、お嬢ちゃん酒つえーな! どうせこいつらのおごりだろ? どんどんのもーぜ!」


「おじさんノリがいいねぇ! のもーのもー!」


 お兄さん達が落ちちゃったからおじさん達が寄ってきた。

 おじさん達はもう出来上がってるけど、まだまだ飲めそう。

 よーっし、今度はおじさんのおごりだ!




「おじさーん、おーい、おきろー。もーなんで寝ちゃうかな。おっちゃんおかわりヨロ!」


 っていうのを繰り返してたら、材料が無くなったから閉店だって言われた。

 まーしゃーないか。たまには仕入れを間違える事もあるよね。


 ほろ酔い気分で街を歩いてるけど、うーん、もう少し飲もうかな? 

 でも開いてるお店が……ない、です。

 帰ろ。


 まぁまぁ話しが聞けたかな。

 ブラスティーと戦った時に至極の炎熱柱フレイム・ストライクで爆発させちゃったけど、あれは地下研究室での実験が失敗したって事になってた。

 もちろん私達とブラスティーが戦ったなんて話しは出てこない。


 それにブラスティーが転生者らしき者をマークしてた理由、どうにも戦争が起こるっぽいから、戦力を集めてるとかどうとか。

 でも戦争する相手国にもブラスティークラスの人が居るらしく、どうしてこの2国が? って話題になってたり。


 あと聞いてた通り王族に対しての不満が山の様に聞けた。

 税金ばっかりとって何もしない、軍隊が仕事をしない、式典に顔を出さない、本当は死んでるんじゃね? などなど。


 ブラスティーはこのまま王族を裏で操り続けるつもりなのかなぁ~。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る