第2章 第36話 指名依頼
鍛冶屋で制作と修理を繰り返し、気が付けば日が沈む時間になりました。
今日はここまでですね、あの子たちは今どんな様子なのでしょう。
冒険ギルドに顔でも出しておきますか。
「こんばんは、ウチの子達は戻ってきましたか?」
「あらコンバンワ。アズベルちゃん達なら来てないわよん」
まだ走っているのでしょうか。
そろそろ6時間以上経っているはずですが、日本だったら6時間ぶっ通しで走るなんて、考えただけでゾッとします。
「では戻ってきたら、私は宿に居ると伝えてください」
「ええ、わかったわ」
食材を買って宿に戻り、部屋に入って交代します。
キャラクターチェンジ
ユグドラ
ルリ子
しずか
番長
ディータ
⇒メイア
◆ しずか ⇒ メイア ◆
体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。
190センチを超える巨体、それが私だ。
よし、今日は久しぶりに料理をしようか。
馬車にある道具を使って料理をしているが、この時間はあちこちから美味そうな匂いがするから目立たないで済む。
みんな明日はどうするのだろう、たまには休んだ方がいいと思うが。
それはみんなが判断する事か。
私はねぎらってやる事しか出来ないな。
みんなが戻ってきたのは、それから2時間ほど過ぎてからだった。
料理を部屋に運び込み、食事をしながら今後の予定をはなしていく。
「今回俺達がドラゴンに手も足も出なかったのは、連携が取れていない事が原因の一つだ。個々の能力は上がっているが、連携が無くてはパーティーの意味がない。しばらくは全員で行動して、今の力にあった動きを模索したいが、どうだ?」
「私も感じていたわ。それに熟練向けの依頼を1人で出来るようになったから、ソロで動き回るメリットも少ないし、パーティーで動いた方が総合的に良いのではないかしら」
「同意。1人で暴れるの、飽きた」
「私は体力も付きましたし、他の人とも同行しましたが、考え方がイマイチかみ合わなくて……ユーさんもこんな感じだったのかなって」
それぞれがソロ活動での限界を感じているようだな。
「ユグドラは深い事は考えていなかったな。目の前の敵をいち早く倒す、それ位しか考えていない。考えが合う合わないではなく、勝手にやる、それがユグドラだ」
全員が『あー』と声を上げた。
「では明日からは全員で依頼を受ける、でいいのだな? ではこれを渡しておこう」
メニュー画面のバッグからアイテムを複数取り出し、順番に渡していく。
「アズベル用の革鎧一式と赤いマント、鎧のインナーだ」
ユグドラの長い物とは違い、腰までしかない小さめのマントだ。
スピート重視のアズベルの動きの邪魔にならない大きさにしてある。
「ベネット用の鎧一式とマント、盾だ」
こちらのマントも赤く腰までしかなく、盾は今使っている物よりも1回り小さい。
盾の強度は上がっているが、今のベネットには大きな盾は必要ないだろう。
「エバンス用のマントとローブ、魔法帽子とグローブだ」
このマントも赤く膝裏まであり、ローブは黒で全身を包み込んでいる。今のと違いフードは無いが、帽子があるのでいいだろう。
「リアはすでに全身の装備があるから、マントとこの腕輪で我慢してくれ」
マントはエバンスと同じもので、金と銀の腕輪が1つずつ、左右につければ丁度いいだろう。
「今渡したものは全てに魔法効果が付与されている。ルリ子が喜んでいたからな、ご褒美と思ってもらって構わない」
「マジか! ありがてぇ!」
「頑張った甲斐があったわね」
「うひ」
「わーい! ありがとうございます!」
みんな喜んでくれた。
ドラゴン相手にあと一歩の所まで追い込んだんだ、これ位の装備を持っていないと、装備の方が持たない。
みなと同じく、私も明日が楽しみだ。
キャラクターチェンジ
⇒ユグドラ
◆ メイア ⇒ ユグドラ ◆
体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。
翌朝、宿の前には新しい装備に身を包んだみんながいた。
いいね、こういうの! なんかパワーアップした感が凄くする!
みんなの表情もとても生き生きしてる、う~ん作った甲斐があったね!
「さあ、みんな行こうか!」
「おー!」
冒険者ギルドに到着すると、
「あなた達に依頼が来てるわよん」
カウンターで受け取った依頼書にはこう書いてあった。
~~~~~王族の身辺警護~~~~~
クローチェ・カーク・オーディン王女が
チグリフォーンの街の視察を行うため、
その身辺警護を命ずる。
期間:王女が満足するまで
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
カウンター 1→4
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