第2章 第14話 訓練開始! あの、斧は?
「えーそれでは戦士向け訓練を始めます」
オネェに言われたから仕方なく他の冒険者の訓練をする事にした。
王都の冒険者ギルドの地下には大きな訓練場があり、的の付いた人形や丸太、鉄板など何に使うのか分からない道具もたくさん置いてある。
今俺の前には様々な戦士系冒険者が沢山いるが、なんだろう、少し様子がおかしいな。
「どうかしましたか? 訓練して欲しいと聞いたのですか」
すると一人のオッサン冒険者が前に出てきた。
「俺達は剣や槍の訓練を受けに来たんだ。バンチョウが教えてくれると聞いたんだが」
ああ、そうでしょうねぇ、そうでしょうとも分かってますよそれっくらい!
「斧を教えて欲しいという人は……?」
無反応! 微かな期待をした俺がバカだったよ!
キャラクターチェンジ
ユグドラ
ルリ子
しずか
⇒番長
ディータ
メイア
◆ ユグドラ ⇒ 番長 ◆
体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。
黒い長ランの背中には
「おおバンチョウだ!」
「本当に変わったぞ!」
「凄いなどうなってんだ!?」
なんじゃ、ざわめいてはおるが、随分と落ち着いておるのう。
てっきりもっと騒ぎになるかと思っとったんじゃがな。
「剣と槍じゃったな。ワシゃー教えるのは得意では無いのでな、全員でかかってこい。希望者がおれば個別に対応するぞ」
腕を組んでアゴをなでながら様子を見ておったが、一瞬の静寂の後で全員が手を上げて騒ぎおる。
全員個別が良いそうじゃ。
「ええいこれだけの人数を個別に見る時間などないわい! まずは全員でかかってこい、話しはそれからじゃ!」
10分後、全員が地面に突っ伏しておる。
「なんじゃぁ? 威勢がいい割に体力がないのぅ! そんなんじゃ個別に見る事などできんぞ? ガッハッハ!」
「おんしゃー剣の振りが雑過ぎるわい。おぬしは武器が大きすぎじゃ。お前はもっと周りを見ぃ。お前は……」
全員に助言をして、最後に全員に課題を出した。
「明日から体力づくりじゃ! 朝晩王都の外周を走り込め!」
グッタリしていたはずの冒険者共が悲鳴を上げた。
中には許してくれと懇願してくる奴もいる。
「あーバンチョウ、王都の外周は馬でも1日じゃ走り切れない。それをやるのは流石に無理じゃないか?」
アズベルが不思議な事を言っておる。馬より速く走ればいいじゃろ。
ん? ん~……ん!
「大丈夫じゃ! 根性じゃ! 努力じゃ! 1日で走り切ったら個別に訓練してやるぞ」
まぁ無理じゃろうな。
それならそれでこっちのやる事に専念できるわい。
「わかったぜバンチョウ! 俺はやり遂げて見せるぜ!」
「見ていてくれバンチョウ! 近いうちに個別訓練してもらうぜ!」
「よし! 今日は早めに休んで早朝から走るぞ!」
「「おー!」」
燃えておる……燃えておるなぁお主らよ!
いいのぅいいのぅ! ワシも燃えてきたぞ!
しかし1週間が過ぎても誰も訓練場には来なんだ。
お陰でリアとアズベル達の訓練に集中できたが、それにしても軟弱じゃのぅ!
「そうじゃ、今のは良い感じだったぞ。お主らは組むと更に強くなるのぅ」
大型の盾を持つフレディと短剣2本の女性ケンタウリは、互いの弱点を補い合うと自然と長所が伸びる。
「そ、そっか? そっかもしんねぇな。ケンタウリは小柄だし、俺の盾にきれいに隠れられっかんな」
「便利だよねぇ~その盾ぇ~。フレディは体も大きいし、上手く私を見えなく出来るもんねぇ~」
「今後お主らは2人1組を基本形として訓練をしようかのぅ」
そして小型の盾を持つアルファと回復役の魔法使いクリスティじゃが、この2人も上手くかみ合っておる。
アズベルは単独でも十分強いし、小さな魔法使いのエバンスも素質が高い。
1番若手のロバートはまだまだじゃがな。
そしてなにより、リアの魔法学の吸収力が恐ろしい程高い。
ルーン文字はあらかた覚え、今はすでに第4グループの魔法を練習しておる。
第4グループは、この世界の魔法使いが使える1番上のグループじゃ。
小さい魔法使いのエバンスや、回復役の魔法使いクリスティも以前はそうじゃった。
まぁ2人はすでに第5グループまで覚えたのじゃが。
魔法使い組は覚えた魔法の実戦経験を積めば、かなり強力な戦力になるわい。
ルリ子の指導はスパルタじゃからの~、元から魔法を使える2人はまだしも、リアはよく耐えられたものじゃ。
と、師匠としての喜びを味わっておると、1人の冒険者が入ってきた。
「ここかしら? ユグドラに指導してもらえる場所というのは」
金属鎧を着こみ、左腕に腕を覆う小型盾を持ち、少し短めの剣を1本腰に刺した
髪は薄い茶色で肩より少し長いストレートで、左右の耳元の髪を後ろで纏めて少し
顔つきはおっとりしておるが、言葉遣いはしっかりとしておる、言いたい事は言うタイプじゃな。
「うむ、ここで間違いないが、お主は初顔じゃな。まずは王都の外周を1日で走れるようになってからくるのじゃ。それが指導の条件じゃからな」
「ええ、さっき走り終えたわ」
ほほぅ? まだ昼下がりのこの時間に走り終わるとはのぅ。
「いいじゃろう、まずは小手調べじゃ」
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