第49話 遺跡!ボンバイエ!

 ルーンストーンをルーンブックに埋め込んだ。

 埋め込むといっても、ルーンストーンがルーンブックに吸収され、新しいページにこの場所の位置情報が登録された。

 ここに来たいときはルーンブックのページに『再呼び出しリ・コール』か『空間の門ゲート』の魔法を使えば移動できる。


 一々ルーンストーンを探す手間が省ける。これ便利。


 さてっと、これで遺跡の周辺をマークをしたら移動の問題は解決だ。

 遺跡の調査で問題になるのが……なんだろう。

 必要な物も分からんぞ。

 俺にはこの手の知識は無いから専門家に替わりたいところだけど、ディータに替わる場所をどうするか。


 ま、何とかなるだろ。


 


 この日は色々と必要な物を買いそろえたり、案内してくれる人に挨拶をして終わった。

 夜はリアと一緒に客室で寝たけど、結構大きいベッドだった。

 クイーンベッドって言うんだって、クイーンだぞ!

 まあベッドの広さを確認できただけなんだけどな!




 翌早朝、俺はギルドの案内人と一緒に遺跡へと向かった。

 この人は遺跡や古い建物の調査をよく受けるらしい。


「全くの手詰まりで困ってたんだ。初心者の目から見た素直な感想でもいいから、思った事は全部教えてくれたら嬉しい」


「分かりました。まずは到着してからですね」


 山をいくつかと深い森を抜け、途中でモンスターに襲われたりした。

 一応踏み固められた獣道に近い道はあるけど、夜のキャンプ時は常に警戒していて休めなかったよ。


 何とか4日後には遺跡に到着した。


 正直ホッとしている。

 遺跡周辺は切り開かれており、兵士や冒険者が沢山おりそれなりの設備が整っていた。

 1晩は休ませてほしい所だ。


 当の遺跡は入り口に立ち入り禁止の看板が立てられている。

 遺跡を見上げるが、想像以上に大きかった。

 建物自体は4階~5階建てだが、所々にある尖塔は煙突のように高く、尖塔同士も高所数か所に渡り廊下があり行き来できるようになっている。

 

 よく崩れないもんだ。


 案内人と一緒に遺跡調査のリーダーの所へ挨拶に行った。

 リーダーは国から派遣されている兵士で基本的にはモンスター討伐を、サブリーダーは冒険者で遺跡調査を担当しているようだ。

 とはいえ、最近は境目が無くなっているらしい。


 上手く協力し合っているみたいだ。


「よく来てくれた。ベッドの上からすまないが、くつろいでくれ」


 リーダーは少し前の戦闘で負傷したらしく、現在は治療中だ。

 とはいえ休めないのが宮仕えの辛い所、病室ではなく司令部にベッドを持ち込んで仕事をしている。


「今は落ち着いているが、数日前まではここら周辺が戦場でね、負傷者も沢山出たんだ」


 サブリーダーの冒険者は怪我こそしていないが、その顔からは疲労が見て取れる。

 サブってある意味リーダーよりも大変だよね。


 早速遺跡調査の話しが始まるが、今分かっている1階部分と遺跡周辺の地図を見せてもらい、注意点などを教えてもらった。

 どうやら罠などは全て取り払われているが、それでも自然発生する罠があるらしく、さっきまでは大丈夫でも今はダメ、という事が多々ある様だ。


 なにそのイヤラシイ仕様は。

 

 とはいえ俺が聞いても大したことは分からない。

 でも今聞いた情報はそのままディータの情報となるため、眠くなりそうなのを我慢して聞いている。

 記憶が共有されるって便利。




 結構長い説明が終わり指令部から出てきた。

 あ、もう日が傾いてる。


「今晩は休んでくれ、調査は明日からにしよう」


「そうですね、残念ですがそうします」


 イヤッホーイ! 


 


 食事を頂き軽くココの人達と交流し、兵士や冒険者が寝泊まりしている家へ向かう。

 他の人達は1部屋に複数名が寝泊まりしているようだけど、俺は1部屋を貸してくれた。

 といってもベッドと小さなテーブルがあるだけで、他には何もない。

 寝泊まるするだけだね~。


 とはいえ窓にはカーテンもあり、ドアには鍵もかかる。

 今のうちに明日の準備、というか前知識を得ておこう。


 キャラクターチェンジ

  ユグドラ

  ルリ子

  しずか

  番長

 ⇒ディータ

  メイア

 ◆ユグドラ⇒ディータ◆

 体が薄く光り、自分の姿がゆっくりと変わっていく。

 ディータちゃんだよー!


「んん~~~……っはぁ、やっと出て来れたよ」


 めいっぱい背伸びした。きんもちイイ~~!

 

 肩より少し長いウェーブのかかった薄い茶髪を左右の耳の後ろ上で少しだけまとめ、アクセサリーを多数つけてカラフルな衣装を着ている。キラキラの短いスカートとキラキラのノースリーブが軽薄さをかもし出してる。歳は16歳ほど。

 おおよそトレジャーハントに相応しくないギャル系のキャラ、それがディータだ。


 カーテンを少し指でずらして外を見た。あった! 遺跡だよ遺跡! うっひっひぃー、あるんだねぇこの世界にも遺跡!

 さてさてユグドラで聞いた話しを地図と照らし合わせよう。


 私は小さなテーブルに紙を数枚取り出し、地図を作成する事にした。

 えーっと確かココはこうでココはこんなで……できた! ヤッバ! 私ってば天才!

 見せてもらった地図の完全なコピーが完成したけど、うーん足りない。


「見えてる範囲の全体図が欲しいよね~、じゃあちょっくら行ってきますか!」


 私は瞬間移動テレポートで部屋から飛び出し、夜の街いせきちょうさへと向かうのであった。

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