ピースリアン

負け犬アベンジャー

「宇宙人、ですか?」


「呼称はピースリアン、知的生命体だ。写真を見てもらえばわかる通り、二足歩行、二本の腕、一対の眼球と口を一つ持ち、酸素での呼吸と人間と共通点は多い」


「鼻のない像みたいな、ゆるキャラな外見ですね」


「だが科学技術は優れている。接触も彼らから、各政府に一方的に送られてきた。その中で意思疎通できたのはわれらの政府だけらしい」


「それは彼ら側の意向ですか?」


「意向ではなく、正確には生態だな。前提として彼らは草食だ」


「草食、我々の知る?」


「そうだ。完全草食、それどころか彼らの星の生態系には肉食という概念が存在しないそうだ。なので


「……死ぬんですか?」


「死ぬ。それもかなり敏感で、一人でも人を殺したものなど対面すらできない。だから平和な軍隊を有する我々だけが交渉できた」


「確かに、あれはこの国だけですね」


「そしてこの度、彼らの星に留学生として人を送ることになった。君だ」


「ですよね」


「目的は二つ、一つは彼らを可能な限り理解すること、二つ目は彼らの意思を変化させることだ」


「それはどのような意味ですか?」


「彼らは、社会主義なのだ」

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