涙
涙が止まらない夜がある。
自分でもどうしてしまったのか分からない。
壊れてしまうかもしれない。
離れてしまうかもしれない。
そんな恐怖が津波のように押し寄せてきて
胸が苦しくなるのだ。
突然の寂しさにどうしていいか分からず
泣いて困らせてしまう。
「寂しい、寂しい」と口に出しては
何度も嗚咽し、どうにもならない環境を
恨み、泣き疲れて泥のように眠る。
自分でも理解しているつもりなのだ。
いくら泣いたとて、物理的な距離が狭まる訳でもないのだから。
いつの日かに、隣に立っていたのがまだ彼ではなかった日。
大好きなはずの彼の声が、自分にとっての恐怖そのものでしかなくなった日。
いつか離れゆくかもしれない恐怖。
もう誰も失いたくない。怖い。
好きだったものが離れてしまう。
そんな恐怖が欠片となって目から零れ落ちて
「お前などが幸せになるのか?」と
囁かれているようで苦しくて苦しくて。
皆にとっての当たり前が、
自分にとっては特別であるから余計に
怖くて。どうしていいか分からず。
こんな私でもいいのだろうか。
こんな私が君の隣で笑っていてもいいのだろうか。
君は優しいから「いいよ」と言うのだろう。
もう少しだけ・・・。
その優しさに甘えてもいいのだろうか。
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