日常など存在しない世界で

こたつみかん

第1話〜天才たちはこうして異世界へ〜

ここは地球という惑星の日本という国の首都、東京に位置する高校。日本の歴代総理大臣5人に4人は卒業している高校。

そう、ここは日本人なら誰もが1度は耳にしたことがあろう、【都立聡慧とりつそうけい高等学校】1-V。 Vクラスというのは今年から新たに設けられた精鋭科のことだ。

つまり、そこは選び抜かれた『エリートの中のエリート(自称)』しか入ることが許されていない、不思議な空間だ。

そこの生徒たちは何故か「ありもしないもの」に固執していた。化学の実験と称して魔方陣を書いてみたり、物理と称してタイム・パラドックスについて研究したり…と、傍から見るとただの中学生の遊びにしか見えないようなことをしていたのだ。

しかし、彼等はいつも真剣だった。この世の「ありもしないもの」を本気で「」に変えようとしていた。

当然、彼等のことを良く思わない輩もいたが、Vに選ばれるだけあって成績、素行は校内でもピカイチだった。


___そんなある日のこと___

いつものように『化学の実験』をしていた生徒は普段と何かが違うことに気付き、Vの生徒皆を集めた。皆は真剣な眼差しでそれ(魔方陣)を見つめていた。

それから30分が経過したが、特にこれといった変化はなかったため各自自分の持ち場に戻ろうとしたときだ。

「ここに血液でも垂らせば触媒になるんじゃないかな…」

普段あまり話さない暁山斎あきやまいつきがそう、言ったのだ。

普段は無口な暁山が言うならとクラスの皆は興味を持った。

そして、皆は暁山が言ったように描かれた魔法陣の上に1滴ずつ、40滴の赫い雫を落とした。

すると、教室内は其の雫のような美しい赫に染まり、静かになったのだった。










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る