俺、神と魔王どっちが向いてますかね?(俺ます)

火田案山子

第1話 俺はどう生きればいいんですかね? 

道を歩いていたら前から来た少年と肩がぶつかった。 

「あっ、すいま…せ……ぎ、ぎゃああああああああ!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」

俺が「あっ…ごめ…」と言い終わる前にその少年は俺の顔を見るなり土下座して謝りまくった。

「え⁉いや…あの…」

「ひいっ‼こ…これで勘弁してください‼」

そう言って少年は素早く財布を出して俺の手に押し付けて、そして一目散に逃げだした。

「あ…ああ……」

俺が呼び止める間もなく少年は遠くへ去ってしまった。

「やだカツアゲ?」

「怖いわねえ…」

近くにいてそれを見ていた主婦たちがひそひそ言ってるのが聞こえた。

「え?いや…違…」

俺が必死で誤解を解こうとするも、その主婦たちも他に近くにいた人たちも皆すぐに逃げ去ってしまった。

「……」

俺は周囲に誰もいなくなった道で1人、名前も知らない少年が置いて行った財布を握って立ち尽くした。

またか……。


この世界では人は皆誰もが何かしらの異能力を持っている。

人によって能力の種類や強度が違い、それは皆生まれた時から決まっている。

で、俺はというと……まあ、有り体に言って……『最強』である。

もちろん、世界に俺より強い能力を持ってる奴がいない事を確認した訳ではないが、少なくともこの国ではほぼ間違いなくこの俺が最強だろう。

俺の能力とは、まずはサイコキネシス。

俺はこれを一切の予備動作無しで出来る。

それもかなり強力で、高層ビルだって簡単に空高く浮かせる事が出来る(やった事ないけど)。トラックなら浮かせた事がある。

次に透視。

下を見ればそのまま地球の核だって簡単に見える。視力だって2.0よりずっとずっと高いのだ。

聴覚、嗅覚も常人の何億倍も高いし、自由に調節可能。

他にもテレポート、予知、千里眼、催眠術、パイロキネシス、念写、テレパシー、サイコメトリー等も出来るしそのどれもが世界最強レベル。

それに10tでも軽く片手で持ち上げられる程の怪力と、猛スピードのダンプに撥ねられようがほぼ無傷で済む程の耐久力と治癒力を持っている(痛みを感じない訳ではないからめちゃめちゃ痛いんだけどね!)

全身にガソリン浴びて火達磨になっても火傷1つしないし(暑いけどね!)真冬に氷水風呂に浸かっても凍死しない(寒いけどね!)等その他の耐久性も超人並みで音速を超えて走れるし泳げるし潜れるし水中で何時間も息を止めてられるしほぼ不死身に近い。

他にも色々な能力を持ってる。


で、そんなにすごいこの俺様は……当然の様に他の人たちに恐れられていた。


生まれつき持ってるこのパワーインフレ以外の何でもない能力のせいで、俺は15歳になった今でも、友達が1人もいない、ぼっちなのであった……。


とりあえず、財布は交番に届けておいた。

おまわりさんが俺を見て震え出して、終いには拳銃に手をかけたので、俺は財布を置いてすぐに退散した。まあ撃たれても無傷だけど……。

俺の強さは、結構世間に知れ渡ってしまっている。

指名手配されてないだけまだマシだが……。

昔はよく「最強な奴倒せば俺が最強だぜヒャッハー!」的な思考のやんちーな奴らによく絡まれて喧嘩を売られたもんだが、俺が特に抵抗もしないままあえてサンドバッグになってやると、次第にそいつらの方が疲れてギブアップして去って行った。どんだけ攻撃してもノーダメージだから。ナイフだって刺さらないしなあ。

逆に俺が人を1発でも本気で殴ろう物なら、間違いなく殺してしまいかねない。

長年の特訓の成果により、何とか力を常人レベルまで抑えているし、能力全般も、滅多に使わない様にしているのだが。

俺に平気で接してくれるのは家族位のものだ。

そんなこんなで、今日も今日とて、俺は学校へと登校してきたのだった。



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