第32話「告白(失敗)」
「歩……私と付き合いなさいよ」
前回のあらすじ、雫が壊れた。
「…………何言ってんの?」
いや、待て! 落ち着くんだ僕!
これはもしかして漫画とかでよくある『私の買い物に付き合いなさい!』とかそういう系の勘違いである可能性は――、
「うぅ……だ、だから『私と付き合え』って言っているのよ!
べ、別に『買い物に付き合う』とかそんな意味じゃなくて『男女交際』的な意味で言ってるんだから勘違いしたら……
ぶ、ぶっ殺すわよ!?」
「さいですか……」
違うかぁ~! むしろ、勘違いの方が良かったぞ……
てか、何で『学校一の美少女』である雫がこんな『ぼっち』の僕なんかに男女交際を申し込んでいるんだ……?
「え、雫って……僕のこと好きなの?」
「す、す――って、ななな、なにをバカにゃことを言っているのよ!?
ここ、この私が歩を好きとか貴方うぬぼれるにも程があるわよ!」
「じゃあ、何で僕に『付き合え』なんて言って来るんだよ……」
「そ、それは~、言ったじゃない……。
ひ、暇なのよ!」
「……は?」
やっぱり、何言ってるんだ……コイツ?
「暇って……
そんな理由で――」
「ち、違うのよ!
いや、別に違くはないのよ……?
その、暇って言うのは……
歩と出会う前のことなのよ!」
「う、うん……
つまり、どういうこと?」
「だ、だから……もう!
歩ってば、本当に空気が読めないのね!?
この『学校一の美少女』である私がここまで言ってあげているんだから空気を呼んで『どうぞ宜しくお願いします!』って返事をすればいいのよ!
べ、別に……?
これは、実は私が歩のことを好きになっていたとか……
そ、そんな低俗なラブコメみたいな展開じゃないんだから勘違いしないでよね!?
つまり、私が言いたいのは……っ!
歩がこの図書室に来るようになるまで私はずーーっと毎日が暇だったのよ!
だって……そうでしょう?
この学校の生徒ってば、いくら私が『学校一の美少女』だからと言っても男子は変な目で見てくるし……近づく奴は安易な告白ばっかり!
それで、女子は嫉妬して距離を置くし、そのうち誰も私に近づく奴はいなくなっちゃったんだもん!
……え?
それは雫の口調や表情がいつもキツイ所為じゃないか? ですって!?
は、はぁぁあああああ!? いい、歩?
この『学校一の美少女』である私が何であんな群れないとまともに生きていけないような奴らに必要の無いおべっかや気遣いしなければいけないのよ!
私は私よ!
そう、誰にもこびへつらったりなんかしないのよ!
ま、まぁ……だから、この図書室には誰も来なくなったわけだけど……
でも、歩。
そんな図書室に貴方が来るようになったわ。
歩だけは私がどんなにキツイことを言ってもここにいてくれたし……
まぁ、たまに私にかなり失礼なことをしてくるけどぉ……?
でも、歩が来るようになってから毎日が暇じゃなくなったのよ……。
だ、だから……私は思ったの!」
「雫……」
え、それって……本当に――、
「貴方をこの『学校一の美少女』である私の『付き人』という名の『彼氏役』にしようとね!
さぁ、歩。喜びなさい!
今日から貴方は私の『
「……いや、結構です」
僕がそう言うと――、
「ぴぇ……」 プルプル…… ← 涙目
雫が今にも泣きそうな目で、僕を見ていた……。
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