第7話 関係

次の日の月曜日


朝起きて、いつものように支度をするが、いつもと同じじゃない俺の気持ちを体が知らせるように、朝にもかかわらず俺の鼓動は早い。部屋を出ようとする時も、意識しなくても分かるくらいには鼓動が早い。


ピンポーン


「お、おはようございます、大輔さん」

「う、うん、おはよう」


ひなたさんも目を合わせようとしない


「朝ごはん食べましょうか」

「うん」


いつもとさして変わらない会話も、新鮮なものに思える。



遊園地に行ったあの日から、ひなたさんとの距離のとり方が分からないでいる。

朝と夜は変わらずにご飯を一緒に食べるが、どうもお互いにそわそわして、会話がぎこちなくて、緊張する。


もっと近づきたい気持ちと、俺と彼女は年が離れているから、傷つけるかもしれないという恐れが入り交じって、前に踏み出せない。


「……おーい、大輔?」

「うわっ、って剛か」

「朝からそんなにぼーっとしてどうした?なんかあったのか?」

「いや、特に何も無いけど……」

「しっかりな」


どこから取り出したか分からない缶コーヒーを俺のデスクの上に置いて労ってくれる。剛は本当に良い奴だ。


「剛はさ」

「ん?」

「恋愛に年齢なんて関係あると思うか?」


それを聞いた剛は飲んでいたお茶を吹きそうになり、ギリギリの所でこらえて、笑いながら言う。


「やっぱりあの女子大生か!大輔がそんなこと言うのは珍しいよな」

「そうか……?」

「お前は自覚無さすぎなんだよ」

「そっか……」

「んで?何があったん?言ってみ?」

「あぁ、それがさ……」


遊園地に行ったこと、手を繋いだこと、さすがに観覧車の話はしなかったが、大体のことは話した。


「なるほどな……それで好きかもしれないと?」

「まぁ、そんな感じかな。俺にもよくわかんなくてさー」

「俺にもその年の差はわからん……あ、でも嫁は年上なら10くらいまでならありって言ってたような気がする」

「じゅ、じゅう……ですか」


そんなに年が離れていても好きになるのか。


「逆に俺は下なら何歳でもおっけー」

「それはロリコンだろ」


結局答えは出なかったが、口にするだけでだいぶモヤモヤしたものが解消できたような気がした。

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