第3話 後輩社員と同僚社員

「おー、おはよう大輔」


朝出社し、自分の席に座る。隣に座る丹羽剛にわつよし

は、5年前俺と同じ新卒採用で入社した同僚。

顔こそまぁまぁだが、嫁もいるし、同い年なのに年上のように感じられる。


「おはよう、剛」

「今日なんかお前かっこよくないか?ひげもしっかり剃ってるし、髪もいい感じだし」

「ああ、なんでもないよ、何となく」

「お?そうか」


不思議そうな顔で見つめる剛。


「そうですよ!先輩どうしたんですかそんなにかっこよくなって」


と、いきなり後ろから妙に高い声が響く。


「あぁ、榊原、おはよう」

「おはようございます!じゃなくて、なんですか先輩、彼女でもできたんですか?」


榊原愛さかきばらあいは2年前に入社した同じ部署の後輩。まだ学生の雰囲気が抜けておらず、スーツを学生が来ているような見た目をしている。


「できてないよ、ただお隣さんと知り合っただけ」

「知り合っただけー?本当ですか?」

「本当本当」

本当の事だった。



お昼になって、



「大輔ー、社食いこうぜ」

「悪いけど、俺今日弁当もってきたから」

「は!?あの大輔が?どーしたんだよ今日はほんとに」

「いや普通だろ、てかそんなに珍しいか?」

「いや、お前1回も弁当持ってきたこと無かったじゃん!」

「そうか?」


剛に指摘されて気がついたが、俺は今までお昼を自分で用意したことがなかったらしい。


「っていうか作ってもらったんだけどね」

「「作ってもらった!?」」


気がついたら剛の隣に榊原が立って、2人で俺を珍しそうなめで眺めていた。


「先輩、やっぱりその人怪しいですよ!先輩を利用してなにか企んでますよ!」


不機嫌そうに顔をしかめながらよく響く声で訴える


「いやいや、普通の子だから。」

「まぁまぁ、じゃあ今日は外で食べようぜ、なんかコンビニで買ってくるよ。愛ちゃんも行く?先輩の怪しい話が聞けるかも」

「はいっ!行きます!」


俺無しで話がどんどん進んでゆく。


春も終わりが近づいてきていて、心地よいがたまに暑いと感じる時もある。今日は雲ひとつない晴れだから、さらに日光が加わって暑い。


「いやぁ、もうこんなに暑いのか!」

「暑いです……やっぱ中で食べません?」

「いや、中で話すと騒がしくなりそうだからここにしよう」


会社のビルの前にある公園のベンチに俺を真ん中にして腰かける。


「んで、その子はどんな子なんだよ」


待ってましたと言わんばかりに、榊原も興味を向ける。


「そうですよっ、どんな子なんですか!」

「んーっとね……まず結構かわいい、かな」

「おお」

「先輩もそんなこと思うんですね……」


何故か少し引かれる。


「あとね、うちの近所の女子大に通ってる」

「「大学生!?」」


今日はよくハモるなぁ。


「んで、ご飯作って貰う約束をした。」

「え、それなんですか婚約ですか」


怖い顔をしながら彼女が聞いてくる。


「いや、違うだろ。料理の練習とかじゃない?」


「それにしたって大輔にそんなもの渡すなんて気があるんじゃないか?」

「そうですよ!鈍感なんですか!」

「榊原はちょいちょい失礼だな」


そのあとも色々、出会いとか話す羽目になった。

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