第5話
いつからか、恋愛小説を読まなくなった。
幼い頃は、人並みに王子様やガラスの靴とやらに憧れていた時もあった気がするけれど。
小説の世界より、もっと、ずっと、いい恋愛をさせて貰った。
久しぶりに本屋に入る。
なんとも言えない匂いと、外の世界とは少し違う静けさが、どう足掻いても、忘れられなかった。
漫画や雑誌を見ながら通り過ぎ、小説コーナーで足を止める。
ゆっくりと歩きながら眺めていると、大抵の客はさっと道を開け、怪訝な顔でこちらをチラ見する。
金髪ギャルみのある人間が、真剣な表情で本を何冊もかごに放り込んでいる姿は、そんなに面白いだろうか。
人は見かけによらないと、つくづく思う。
私がそうだから。
やっぱり本はいいな、と久しぶりに穏やかで平和な気持ちになった。
それだけ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます