第33話妖狸町中華11

 色々相談した結果、まずは教団の犯行を拡散する事にした。

 世論は沸騰した! 

 教団と政党は真正面から反論した。

 マス塵も教団と政党に味方する報道をした。

 動画を消去させようと圧力もかけてきた。


 だが世論が味方してくれた。

 某宗教団体が毒薬を撒き散らした事件は、いまだに忘れられていなかった。

 その教宗教団体が、独自の官庁組織を計画していたことを動画配信した。

 教団と政党が、中央官庁内の教団員に、独自の官庁役職を与え、何時でも政府転覆が可能な状態である事も動画配信した。


 教団中央幹部は急ぎ方針を変えた。

 蜥蜴の尻尾切りを行った。

 全責任を市教団代表と幹部に負わせたのだ。

 だが付け回して恐怖を与えただけでは、大した罪にはならない。

 表向きの教団の地位を剥奪するだけですませるわけにはいかない!


 俺は腸の煮えくり返る思いだった。

 この程度の罪で済むのなら、必ず同じことをやる組織が現れる。

 ここで痛撃を与えておかなければならない。

 世間に教団と政党の危険性を知らせることはできたが、それだけでは腹の虫がおさまらない。


 そんな時、真剣な表情をしたお母さんが条件を出した。

 店を休みにするから、直接間接に係わらず、敦史君達に恐怖を与えた教団員は、敦史君達を含めた自分達に、直接会って謝るようにと言う条件だ。

 俺達の動画に映った教団員と、教団市部代表達から証言された犯人達。

 中には摘発配信を逃れた教団員もいるだろうが、顔バレしている奴らは引っ張り出せる。


「分かりました。

 人として許されない行いをしたのですから、公の場で謝るのは当然の事です。

 ですが、人は間違いを起こす弱い生き物です。

 教団内の地位は剥奪しますが、破門して見捨てるのではなく、教え育てる事をお許しください」


 教団広報の厚顔無恥な対応に腸が煮えくりかえる思いだった。

 怒りで全身が沸騰し、手が自然に震えてしまった。

 お母さんと親父さん、大将と女将さんが、普段の福々しい顔を固くして、怒りの心情を押し殺していた。

 それは若や若女将はもちろん、他の孫たちも同じだった。


 敦史君達四人の後見したお母さん達は、交代で教団員の謝罪を受けた。

 敦史君と幸次君には、恐怖を与えた事を直接謝らせた。

 光男君と花子ちゃんには、二人に恐怖を与える事で、不安にさせた事を謝らせた。

 だが四人に謝らす前に、お母さん達に話をさせた。

 本当に反省しているのか、謝罪の気持ちが偽りでないかを確認するためだそうだ。


 俺はその時のお母さん達の眼を忘れない。

 鈍く金色に輝いていた!

 人の眼とは思えない色で、内心の怒りが人の眼の色を変えると言う事を、その時初めて知った!

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