第24話妖狸町中華2
「うぇえぇん!」
「糞!
あいつら絶対に許さない!」
幸次君が号泣して店に入って来た。
敦史君が包丁を持って出て行こうする。
大体の想像はつくが、確認しておかないといけない。
「落ち着け!
それを持って出て行ったら犯罪者になるぞ。
そうなったら、弟達を助けられないぞ!
まずはちゃんと説明しろ」
不味いな。
お母さんと親父さんの眼が座っている。
これは本気で怒っている。
二人を前科者にするわけにはいかない。
「敦史君。
ちゃんと証拠があれば、悪い奴を捕まえる事ができると分かっただろう。
まずは事情を話してくれ。
それを聞いて、相手を罪に落とす証拠を揃えるから」
「うん!」
敦史君が話してくれた内容は、思っていた通りだった。
マス塵の屑野郎が、敦史君と幸次君から強引に話を聞こうとしたのだ。
誘導して、お母さん達の悪口を言わそうとしたようだ。
だが二人は徹底的に拒否した。
それでも腐れ記者は執拗に話を誘導しようとしたそうだ。
遂に幸次君が泣きだし、敦史君は幸次君をかばって逃げ出した。
それでも屑記者は諦めず、二人を追い回したそうだ。
そして遂に追い回された幸次君は転倒し、酷い擦り傷を負った言うののだ。
これは好機だと思う。
徹底的に叩き潰してやる。
「弁慶。
誘拐未遂事件として一一〇番通報しろ」
「はい」
「剣鬼。
救急車を呼べ」
「はい」
「王子。
大事にするのか?」
親父さんはさっきまでの怒りを納めて、狸顔を歪めて思案している。
俺のやり方が本当に子供達の為になるのか考えているのだろう。
「王子。
子供達の負担になったりしないかい?
そんなまどろっこしい事なんかしないで、直接乗り込んで文句言った方が早いんじゃないかい?」
お母さんはもっと率直だ。
今でも出版社であろうがテレビ局であろうが殴り込みをかける勢いだ。
勇ましくて頼りになるが、今後の事を考えると我慢して欲しい。
お母さん達が小規模住居型児童養育事業の資格を取り消されたら、敦史君達はバラバラにされてしまうかもしれないのだ。
「剛龍。
警視庁に連絡して根回ししてくれ。
検察にも頼む。
少々の言い訳をしようが、逮捕立件できる証拠を揃えて欲しいとな」
「分かりました」
相手は必ず取材していただけだと言うだろう。
まずは徹底的に誘拐未遂で叩く。
証拠が揃わなければ、児童虐待や暴行で立件する
恐らくフリーの記者だろうから、出版社やテレビ局は知らぬ存ぜぬを通すだろう。
だが絶対に許さない。
徹底的に潰してやる!
「病院には俺が直接連絡する。
正しい診断書を書いてもらって、マス塵の首を獲る!」
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