童話修理館~あなたの物語修理します~

葵 悠静

プロローグ

華川道子は昔から童話が嫌いだった。

もちろん小さい頃にはよく子守唄代わりに、ありもしない未知の世界の突拍子のないおとぎ話を聞かされたものだ。


 動物は平気で人間の言葉を話すし、その世界の王子様は無防備に外を歩き回る。

 幼き頃から聞かされていたといっても、道子はそれを容易に飲み込めるほど、純粋な子供ではなかった。


 所詮決められたルートを進んでいるだけでしょう?

 私はこの人たちみたいに人生の主役になんてなれっこないから。


 道子はそういって童話を信じないまま、童話に憧れないまま、童話を嫌ったまま、童話に触れることもなくなっていき育った。

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