第26話 調査するなら今のうち
《リゲタネル》と《オオトリ》の共同作業は問題なく進んだ。《オオトリ》の乗組員達は十六年ぶりとは思えないほど手際のよさで《リゲタネル》の開けたワームホールに時空管を差し込んでくれた。
最初は調査用の千五百R時空管。
直径三メートルの狭い時空管なので《リゲタネル》は通れないが、偵察ならこれで十分。
偵察して安全と分かったら、十時間後に《リゲタネル》の通れる直系二十メートルの一万R時空管と交換する予定だ。
手始めに無人のプローブを向こうに送り込んだ。
「ワームホールは、まだどちらも開いてないよ」
プローブから送られてきたデータを慧が解析していた。
「キラー衛星も襲ってくる様子はないよ。シリンダータイプはそれぞれのワームホールに一機ずつ陣取っている。円盤タイプはロシア側三機。日本側に二機」
「ねえサーシャ。リゲタネルがこのまま向こうに行ってもキラー衛星は見逃してくれると思う?」
「見逃してくれるかもしれないけど、正直そんなリスクは犯したくないですわ」
同感だ。
「プローブが生きていたよ」
慧が嬉しそうに報告する。
惑星を周回していた六機のプローブのうち四機が生き残っていたのだ。
プローブ達はあたし達がいない間も情報を集め続けていてくれた。
なんて健気な。
「どうやら。僕達がワームホールを抜けた三秒後にグレーザー砲が発射されたらしい」
うわ! マジに危機一髪だったんだ。
「二機のプローブはそれに巻き込まれたようだよ。その後、キラー衛星は今の位置に待機している」
どうやら《リゲタネル》が出て行かなければキラー衛星は大人しくしているようね。
「みんなちょっと聞いて」
サーシャ、慧、教授の視線があたしに集まる。
「十時間後には予定通りワームホールを広げるわ。でも《リゲタネル》はこっちの空間に留まって、ワームホールを通して惑星の調査をしようと思うの。キラー衛星とことを構えて消耗するよりも、キラー衛星をあそこに貼り付けておいてCFCへの牽制にしておいた方がいいと思うわ。異議はある?」
「僕はない」
「私もそれでいいと思いますわ」
「というか、それはワシの提案を少し変えただけだぞ」
「そうでした」
そう言えば第四惑星に行く前に教授もそんな事言ってたわね。
「では異議はないわね。それではワームホールを広げる前に、あたしとサーシャで惑星に直接降りてみようと思うの」
「私は構わないわよ。でも、どうやって降りるの?」
「第四惑星からシャトルを借りてきたわ。もちろん惑星から飛び立てるタイプよ」
「時空管を抜けられるの?」
「向こうで組み立てなきゃならないけど、抜けられるわ。ただし、地上までは行かないで浮島の一つに降りようと思うけど」
「賛成ね」
「じゃあそれで決まりだわ」
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