たまご

「たまご」




翼を痛めて

飛びにくくなった


やっと

巣に帰って

親の顔をみれば

ほっと心が落ち着く


老いても

住んでいる地域の

人々と

助け合いながら


毎日食事を作る母

遠方まで車を飛ばす父


笑むと

増えたしわからは

考えられない

元気の躍動

そんな親の姿に

今になって

敬いの気持ちが

花開く


翼を痛めて知った

帰れる巣があり

親の微笑みがあり

それ自体が

幸せであると


いつか訪れる別れ

想像できない

したくない

でもいつかは

永遠の別れと

大きな決断が待っている


胸にある

透明なたまご

大事に抱えて

何が生まれる?


希望

幸福

笑顔

泣き顔

寂寞

闇夜


それとも新たな命か

守るべき命か

低い僕で

育んでいけるのか


笑みの踊る

うたかたの幸せ

元気をたもてと

儚き願い

歳月を重ねても

繊細な感情は

まだ胸の奥に


幸せも

願いも

感情も

ひとつひとつ


今は大事に

抱きしめていよう

温めていよう


深い深い

感謝とともに



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