名曲
「名曲」
心にできた傷跡が
なかなか消えない
親元へしばらく
身を寄せて
傷跡が消えるまで
人はそれぞれ
人生の音色を奏でる
幸か不幸かの
聴き分け方は
心の調律しだい
いいなと思うときも
悪いなと思うときも
常々ある
僕のもうまく
調律ができず
隣家の音に
震えている
昼間は工事の音
夜は電車の音
家の近くから
そんな硬くて重い
音色が聴こえてくる
そろそろ
東京へ帰ろうか
薬を飲みながら
傷跡に染み込む
色んな人の声
じわりと痛みを
引き連れる
イヤホンをして
静かに聴こえる
アンビエント
優しく
語りかけてくるかのよう
おやすみ
いまはゆっくり
やすめばいいのだから
元気溌剌な母
穏やかな父
二人に囲まれながら
傷跡は少しずつ
消えていく
スローテンポな暮らしを
まだ少し
あと少し
そこから
アップテンポになれば
少なくとも
僕の中では
名曲だ
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