第80話「第二部の登場人物」

 魔王ノスフェラート・ヴラド・アンブロサム 八百歳


 故人。吸血鬼の一族を繁栄させた長でもある。

 不死の魔王と呼ばれ、絶対的な力でアンブロサム魔王国を治めていた。

 死ぬ間際に魔王紅蓮剣ヘルファイアに自らの全ての魔力と意思を込めて、末子レナへと託す。


 魔王の遺児 レナ・ヴラド・アンブロサム 十四歳


 淡い金髪に紅眼こうがんの小柄の無口な少女。

 不死王と呼ばれた父である魔王ノスフェラートを、魔公ヴァランに目の前で殺されている。

 侍従長フジカに救われ、タダシ王国へと逃れる。


 魔王の侍従長 フジカ・イシュカ 二十八歳


 紫色の長い髪に、吸血鬼の証である紅眼こうがん

 豊かなプロポーションを持つ色気のある女性。

 魔王ノスフェラート暗殺を目の前にし、不死王の血族最後の生き残りであるレナ姫と魔王剣紅蓮ヘルファイアを携えて、からくも魔王城から辺獄へと落ち延びる。


 宮中伯のちに魔王軍将軍 リッチモンド伯爵 数百歳。


 死霊貴族である彼は、死霊族を率いる族長であり、元魔王ノスフェラートの側近にして宮中伯に任じられていた。

 そしてそれほどの厚遇を受けながら魔王を裏切り、元魔王軍を統括する将軍へと出世した狡猾なる男であった。

 しかし、自らの命を惜しんで魔王の遺児と魔王剣を辺獄へ逃したため魔公ヴィランより無能の誹りを受けて護衛騎士とともに滅殺。死霊族もまた族滅させられた。


 魔公ヴィラン 暗黒の魔王ヴィラン・デーモン・アシュタロス


 もともとヴィランは魔人たちを統治する、魔界の公爵であった。

 魔人絶対主義を標榜し、他の魔族を下等として魔人こそが純粋な魔族の姿に近いという思想を持っていた。

 魔人こそが魔界の主たるべきなのに自らに魔王としての力が与えられないことを恨み、魔族の神ディアベルへの信仰を捨てて、異界の暗黒神ヤルダバオトの囁きに導かれて新たな力を得る。

 そうしてヴィランは、人族に生物的に依存して生きている吸血鬼やサキュバスなどの穏健派魔族とは違い、人族の国を完全に滅ぼすべきという強硬な意見を実行に移した。

 クーデターにより魔王ノスフェラートを倒したヴィランは、逆らうもの全てを暗黒神の生贄へと捧げて無敵の軍団を形成。

 魔界と人界、世界の全てを呑み込むべく侵略を開始した。


 筆頭魔人将 魔臣ド・ロア


 気難しい魔公ヴィランに長らく仕えた魔人将軍の筆頭。

 魔臣の異名を持つほどの有能な魔人であり、ヴィランが天下を取れたのも忠誠の厚い彼がいたからこそとも言われている。

 感情に流されやすい君主をサポートするために自身は感情を抑えて冷静を旨としているが、彼自身も激情型の魔人であり戦闘のときだけは怒りをあらわにすることもある。


 ゴブリン貴族 ゴブーダ


 土ゴブリン族の長。

 魔王ヴィランより暗黒神の加護★を与えられ、刃波エッジウエーブという魔技を使う。

 小柄で知恵が回る。邪悪。


 オーク貴族 オルグ・ボルグ


 丘オーク族の長。

 魔王ヴィランより暗黒神の加護★★を与えられ、鋼砕きメタルスマッシュという魔技を使う。

 元から持っていた魔族の神の加護とは合算になるので☆☆☆スリースターのランクにまでその力は高まっている。

 大柄で、普段はぼやっとしている。野球好き。


 オーガ貴族 悪鬼大連合軍将軍 ガリアテ・エスコバル


 筋骨隆々とした身の丈四メートルもあるオーガ八部族の大族長。

 巨大な地竜にまたがっている。

 長年公国軍と戦っていた経験を買われて、オーガ族・オーク族・ゴブリン族で構成された大連合軍の将軍を任じられている。

 脳筋揃いの悪鬼系魔族には珍しく、大軍を指揮できるだけの知性と判断力を備えた魔族である。

 新しい魔王ヴィランには懐疑的だが、その力は認めている。

 その腕にも魔族神の加護☆☆☆に加えて、暗黒神の加護★★ツースターが刻まれている。

 加護の力をまとめると、史上最高ランクの☆☆☆☆☆ファイブスターと同等レベルということになる。


 オーガ貴族 オーガ地竜騎兵団長 グリゴリ・エスコバル


 ガリアテの息子。

 父親譲りの筋骨隆々とした身の丈三メートル半の巨体。

 先の大族長ガリアテより、オーガ族の後を託された大族長。

 アンブロサム魔王国の魔都で貴族としての高い教育を受けていたせいか、父よりも細面で(あくまでオーガとしてだが)、紳士的な風貌を持つ。

 オーガ八部族を代表して、三千騎のオーガ地竜騎兵団を率いる。

 タダシ王国におけるグリゴリのオーガ地竜騎兵団は、戦時では主に主力である砲兵の護衛兵団として、平時では要人警護など、かなり多方面に活躍していた。


 竜公ドラゴン・ロード グレイド・スタードラゴン・ドラクロワ 十五歳


 さらりとした透き通るような金髪を風になびかせて竜眼をギラリと輝かせる、元気そうなズボンの少年。

 実は男装してるだけで女の子である。本人は男装してるつもりもない、ズボンの方が活発に動けるから好きな格好をしてるだけだ。

 彼女の正体は人化した竜であり、強大な種族ドラゴンの中でも最強の種族、光竜の若き族長。

 竜族全体の長であり、竜公と呼ばれている。

 力こそが全てと信じ、暗黒神の加護をくれるという約束で暗黒の魔王ヴィランに一度は仕方なく従う。

 それで加護の星の数は、魔族神の加護☆☆☆☆フォースターに暗黒神の加護★★★★フォースターを加えて八となる。

 しかし、タダシ王国侵攻時にフェンリルに喰われそうになり、タダシの慈悲に救われて忠誠を誓う。

 竜族は、常に強き者の味方。

 意外に野心家で、当初は魔王の座を狙っていたようである。


 小竜侯ワイバーン・ロード デシベル・ワイバーン・ワイズマン 十五歳


 ツインテールにした赤茶色の長い髪、おどおどとして頼りなさそうなスカートの少女。グレイドとは対照的に見た目は少女で実は男の子である。

 女装は完璧に趣味というか、人化したドラゴンなのでどんな格好をしようと自由だ。

 千人のワイバーン軍団を統括する小竜侯である。ちなみにワイバーンとは、二本足の小型の竜である。

 優しく臆病な性格だが、心の底から怒りに震えると意外なほどに強い。

 加護の星の数は、魔族神の加護☆☆☆☆フォースターに暗黒神の加護★★★スリースターを加えて七。

 窮地に立つと鋭い爪で暴れまわりグレイドにも手がつけられなくなるほどの凶暴さを見せることから、爪裂き侯の異名を持っている。


 シスター・バンクシア・エリキフォリア 年齢は秘密。


 サキュバスのシスターというわけのわからない存在。

 敬虔なる信徒であり、魔族の神ディアベル様の魔女である。なにかといえば、「ディアベル様のお導き」というのが口癖。

 親しき者には可愛らしくシアと名乗っているが、実際はかなり高位の存在で魔王にも匹敵する権威を持っている。

 シスター服に身を包んで敬虔を装ってるが、夜の戦闘モードになると服がバサッと華開く。

 お約束どおりタダシに襲いかかり、圧倒するかと思われたが圧倒された。


――フロントライン公国


 金剛の騎士 オルドス 四十二歳


 天星騎士団の幹部騎士。

 モジャモジャの顎髭で護衛騎士というよりまるで野武士といった風情である。

 騎士としての実力は、団長のマチルダや副団長のグラハムに次いで三位。英雄神の加護☆☆☆スリースターを持つ実力ある騎士。

 マチルダは謹慎し、グラハムが戦死したのでオルドスが騎士団団長代行を務めている。

 金剛の二つ名の通り、派手なマチルダやグラハムと違い地味な守りの戦いを得意としており、公国軍の前線指揮官を務める事が多い。

 その聖鎧金剛ダイヤモンドは決して壊れることはない。

 一本気な性格で、騎士としての誇りを命よりも大事にしている。公王ゼスターに、剣を捧げる忠臣の一人。


――後宮入り吸血鬼族女官


 カゲツキ 諜報チーム担当 十八歳


 タダシの血を吸った吸血鬼族百五人(レナ姫、フジカ含む)の一人。

 金髪のショートカットの活発そうな若い女の子。

 軽いノリはちょっとギャルっぽい。

 日頃はフジカ直属の諜報官として、諸外国を回っている。人族の国に潜入することも多い。

 軽いノリは演技なのだが、実際の自分がどうだったのか忘れてしまい、それがもう素になってきている。


 エリナ 経理担当 二十歳


 艷やかな黒髪の女の子。綺麗なのだが少し内気そうな印象。

 書き物が好きで、人と話すのがあんまり得意ではない。

 人の視線が怖くて前髪を伸ばしていたのだが、タダシが切ったほうが良いと言うのでバッサリと切ってそれから少し性格が明るくなった。


 アマミツ 後方支援と情報分析担当 十九歳


 ぽっちゃりとした可愛らしい健康的な子。

 おやつのつまみ食いが仕事などとふざけていたが、彼女は諜報チームの司令塔であり内務と外務をつなぐ重要なハブでもあり、他の者に代わりができない重要な仕事を担っている。

 吸血鬼族の女官の中でも飛び抜けて優秀な頭脳を持っていて、フジカにも信頼されて一目置かれている。

 ただ本人も言うように運動は極端に苦手で、辺獄への逃走の際にはすぐに音を上げて他の子に担がれて移動していた。

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