お金儲け
欲に目がくらむと、大抵ろくな事が起きません
小学生の頃、私を含めた友達数人で、どうやったら子供でもお金を稼げるかをよく話していました。
わたしの家は特別貧乏と言うわけではなかったが、それでも欲しい物を買って貰えないこともあり、そういう時に公園集まって、どうやったらお金を稼げるかを話していました。
しかし、大抵は夢物語のようなものが多く、 具体的な案が出たかと思えば結局は親の手伝いとかその程度のものでした。
ところが、いつものように公園で話していると、遅れてやってきたAが
「金儲けできる方法を思いついた」
と言ってきたんです。
まぁ皆いつものことだと思って笑ったんですけど、Aが
「今回は凄いんだって」
と言って1冊の漫画を私たちに見せて来ました。
その漫画には自分達で怖い噂を流して、解決方法を売ってお金儲けをする子供たちが描かれており、Aはこの方法で一儲けしようと考えたみたいでした。
正直同じ子供を騙すのに少し気が引けましたが、丁度欲しいゲームがあったので小遣い稼ぎにはいいかと思い、全員Aに協力することにしました。
私たちは当時流行っていたコックリさんを題材にした噂を作り、正しい解決方法を知らないと殺されるという噂と共に学校中に広めました。そして噂が広まったのを見計らい、自分たちだけが解決方法を知っている。10円で教えてやると数人の生徒に持ちかけました。
小学生にとっても10円は小さな額なのか、皆すぐに払ってくれ、更にお金を払ったということで他の人に教える人はおらず、私たちが想像していたより簡単にお金を集めることが出来ました。
ここで止めればいいのもを私たちは完全に調子にのっており、更に色々な噂を創り、その度に金額もあげていきました。
そして、金額が500円を超えた辺りでAが
「次は一気に1000円を目指すぞ! 」
と提案してきました。
小学生にとって1000円は大金で私たちも流石に事の大きさに気が付きAのことを止めましたが、Aは1人でもやると言って聞きませんでした。
翌日から学校中で七不思議に関する噂が流れていました。なんでも七不思議の1つでも知ってしまうと、その噂に取り憑かれる。解決するには7つ目の噂の知るしかないとか何とか。もちろんこの噂はAが流したものですが、時は既に遅く、私たち以外のほとんどの生徒がその噂を信じてしまいました。
この噂の広がり方は凄まじく、実際に噂に襲われたと言う生徒や 中には体調を崩す生徒も出るまでになってしまいました。
このままでは冗談ではなくなってしまうと感じた私たちは、放課後Aに内緒で全てを担任に打ち明けました。
もちろんお金のことに関してはたっぷりと叱られ、後で親同伴で校長室行きが確定しましたが、今はAの暴走を止めようということになり、担任がAの家に電話をしました。しかし、先に帰ったはずのAまだ家に帰っていないとのことでした。
そこで、私たちは一度学校を探してみることにしたんです。全員で手分けして校舎を探し、私は普段は誰も通らないで有名な大きな鏡がある階段付近を探していました。
それで、その大きな鏡の前を通りかかった時、何かを叩く音がしたんです。音がした方に向くと、私は普段思わず、腰を抜かしてしまいました。Aがいたんです。
彼が鏡の内側からこちらに向かって仕切りに何かを叫びながら鏡を叩いていました。私はAが自分の創った噂に襲われているのだと直感しました。
彼はこちら側に声が聞こえないのがわかると、ノートを取り出し何か書き始めました。Aが書き終わったノートをこちらに見せようとした時、鏡の奥から黒い手が伸びてきて彼を叫び声と共に暗闇に引きずっていきました。
彼が引きずり込まれる瞬間彼の書いたノートが見えたのです。そこには7つ目を噂は自分が襲われている噂を誰かに話す、俺が襲われている噂は放課後の鏡と黒い手だ! と書いてありました。
この事はすぐに先生に話をしましたが、信じてもらえず逆に不謹慎だと怒られてしまいました。その後Aは見つかっておらず、現在でも行方不明となっています。
しかし、私はこう考えています。彼が今でも自身の創った噂に襲われているのだと。
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