いつか天国へ行ける時まで

斉藤なっぱ

プロローグ

宵闇に浮かぶ光を目指して裸足の少女が髪を振り乱して走ってきた。

年のころは7~8歳。


走って


走って


逃げて……


少女がそのスラムで気を失うまでそんなに時間はかからなかった。

誰かが駆け寄って水を飲ませるまで、少女の記憶は朦朧としてどうやってそこまでたどり着いたのか今ではまったく思い出せない。


土まみれになった足


石を踏んで怪我をしたつま先


少女は右手にお守りを持っていた、所持品はこれだけである。

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