テンプレ世界のその先に・・・

銀猫@フォロバ100%

テンプレ的な転移

第1話

「勇者諸君!貴殿らに魔王討伐に向かって欲しい!」



「「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」」






突然現れた魔法陣らしきモノ



それが光輝いたと思うと僕達、葛原くずはら中学3年B組は見たことも無い場所にいた



教室が2つは入ると思う部屋に煌びやかな装飾、見たことも無い程の大きさのシャンデリア



そしてフルフェイスアーマーを来た20超の騎士みたいな人達



そして僕達の目の前には豪華な金の玉座に座っている、宝石を散りばめた服を着た太って醜悪な顔をした王様らしき人がいた



その右隣には豪華な服を着て無理矢理若作りをしているお妃様らしき人がいる



お妃様の反対側には、2人の子供とは思え無い程の美少女がいた



まあ、王様のとなに居るから2人の子供って思っただけなんだけど



透き通った鼻筋にクリクリした目、柔らかそうな唇にシミの1つもない柔肌



髪は金色の軽くウェーブのかかったロング、そして慎ましい胸



まるで途轍もなく出来の良い人形がそのまま動いて居るかのようだった



クラスの皆が突然言われた事に対して騒いで居る中、僕こと『藤宮ふじみや 瑠衣るい』は少し考えていた






「めちゃくちゃテンプレだな、だけど・・・」






僕はこんな状態でも特に動揺しなかった



もっと言うとこんな状態になるのを望んでいたのかも知れない



僕はこんな話ハイファンタジー系のネット小説をよく読んでいた



暇さえあれば小説、そんな生活だった



しかし、この状態異世界転移になるのはよく有るが、物語は此処から更に分岐する事が多い



1つ目は、最近は少なくなったけど王道の鈍感ハーレム系の男が主人公話



2つ目は、鈍感ハーレム系主人公を毛嫌いしている人が主人公の話



3つ目は、クラス全員に裏切られたいじめられっ子が死の淵から生還して復讐を誓う話



4つ目は、クラス委員長並にしっかりしている女子が主人公の話



まだまだ有るけどこれ位にして、うちのクラスはこの4つ全てが当てはまる



鈍感ハーレム系主人公リアル『織◯一夏』神崎かんざき 隼人はやと



神崎ぶっ殺してやるぞ人間リア充撲滅委員会副会長緑山みどりやま 風馬ふうま



クラスのいじめられっ子サンドバッグ君影早かげはや 裕二ゆうじ



学級委員長の大親友でしっかり者大天使ミサエル早坂はやさか 美郷みさと



僕の仲間オタクの中では『四大異世界系主人公フィーア・ヘイツ』と呼ばれている



僕らの中の渾名は置いといて、彼らは皆主人公になれる素質を持っている






「これがこの星の今の情勢じゃ、分かってくれたか」






ん?僕が考えている間に王様の長い話が終わったみたい



王様、いや皇帝の話を纏めると、



『今、魔王軍に攻められている



更にその隙を突かれて王国に宣戦布告された



このままでは滅んでしまう



そうだ!異世界から勇者達を呼ぼう



異世界から来た者はめっちゃ強くなるって聞くし



だから、助けてちょ(はぁと)』



いや、テンプレだけどいざ聞いたら腹立つわぁ(大激怒)



流石にこんな暴論聞かなくても良いでしょ



多分もう家には帰らないとは思うけど・・・



そこに早坂さんが立ち上がって質問する






「1つ質問です・・・私達は帰れるのでしょうか?」



「・・・・・」






早坂さんの疑問は最もだと思う



僕は早坂さんとは長い付き合いだか分かるけど彼女自身は戦う事に嫌悪感は無い、寧ろ戦いたい筈だ






「帰る事が出来る保証があるのなら私は構いません・・・しかし帰る事が出来る保証が無いのに無理矢理呼び出して戦えだの正気だとは思えません」






皇帝は目を伏せた後、申し訳無さそうな目で早坂さんを見た






「・・・すまぬ、儂らには貴殿らを元の世界に帰すことは出来ん」







早坂さんは「やっぱり・・・」と呟いて皇帝を睨んでいる



彼女は僕が唯一得意な剣道で切磋琢磨した仲間でもある



僕は都大会優勝程度の実力しか無いけど、彼女は全国ベスト4の実力を持つ化け物でもある



もし、早坂さんの近くに剣が落ちていたら皇帝の首は飛んでいたね、うん






「しかし、魔王達魔族は魔法に長けている・・・魔王なら貴殿らが帰る方法をきっと知っている筈だ」






皇帝は玉座から降りて早坂さんに向けて頭を下げる



早坂さんは目を見開いている



そりゃそうだ、一国の王が頭を下げてきたら誰だって驚く






「頼む、この通りだ・・・この星を救ってくれ、不甲斐ない儂らの代わりに、頼むッ・・・!」






早坂さんが少し悩んでいると、早坂さんの肩に誰かが手を置いた



その手の正体は神崎だった



僕達男子と早坂さんが毛嫌いしている男である



神崎は皆に聞こえる様に大きな声で言った






「早坂さん、助けてあげよう」



「何を言っているのかしら神崎君、私達に助ける義理なんて・・・」



「でも、此処で留まってたら元の世界に帰れなくなる・・・それに、助けを求めている人を見捨てないだろ、なあ皆!」






神崎の言葉に男女問わず士気が上がる



口では嫌いと言っても神崎には凄まじいカリスマ性がある



一部・・の人間を除いて神崎の意見に賛成していた






「やろう!オレ達でこの世界を救うんだ!」



「「「「「「「「おうっ!!」」」」」」」」






皆の士気が更に上がり、熱気に包まれた



しかし皇帝が顔を上げる時、邪悪な笑みを浮かべたのを僕を含めた一部の人間は見逃さなかった

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