12話~My HERO (中編)
「はあ……はあ……。」
私は逃げてしまった。現実からも。そして須藤幻からも……。
私は1人になった所で、ははっと笑ってしまった。いつもそうだ。私は幻のために思った事がいつも空回りして結局自分に返ってくる。そうして自分が勝手に傷付いていく。
「何やってるんだろ……私……。」
本当にそうだ。自分で言って自分で納得する。何やってるんだろ。私は。幻に近付いてようやく彼の魔女になれてそうして都合が悪くなったら逃げ出して。何をやってるのかさっぱり分からない。自分のことなのに。
「……分かんないよ。」
私は裏路地でしゃがみ込んで俯いた。勝手に目から涙が出た。その涙は自分の意思関係なく地面を濡らす。
自分は一体なんだろうか。昔みたいに幻を好きでいられているのだろうか?それとも……。
「あれ?君、どうしたの?」
ハッとして顔を上げるといつの間にかガラの悪い男達に囲まれていた。私は慌てて立ち上がるとキッとして男を睨む。
「なんでもないです。」
「本当に大丈夫?ここ治安悪いし、家まで送っててあげようか?」
「結構です。」
そう言って裏路地から出ようとすると男にニヤニヤしながら腕を掴まれた。私は不快感を出しながら抵抗する。
「やめて!」
「おい、口抑えろ!暴れさせるな!
……こいつきっと魔女だぜ?聖玉の生徒だったら結構いい所から金取れるんじゃね?」
「お、いいね!それに結構な上玉じゃねえか。俺たちでちょっとヤっちまおうぜ?」
「むーーー!ゔゔーーー!」
口を抑えられどんどん裏路地のさらに奥の方に押し込まれる。前にマスターさんに言われてた事を忘れてた。ちょっと蜃気楼の辺りから外れると危ないって。
……なんでこうなるんだろう。私は押さえつけられながらぼんやりとそう思ってた。あの時もそうだ。燃える街を見てそう、思ってた。
助けて、って思っても助けに来ないんでしょ?幻。
「本当に馬鹿だな……柊!!」
「!?」
その瞬間、私の口を抑えていた男がガクッと崩れ落ちる。そしてその後、その男に強烈なストレートが入る。そうすると私を羽交い締めにしてた男にも拳が入る。
ガラの悪い男達が現れた人影に向かって叫び散らかす。
「なんだてめえは!」
「こいつのブラッドスミスだよ!」
すると幻は男の急所に思いっきり蹴りを入れる。その男はへたへたと倒れ込んだ。
そうして男達が怯んだ隙に私の腕を取ると心の中で助けに来て欲しいと思っていた少年と光がある表通りへと走り出す。
しかし……。
「逃がすな!」
表通りの方からも増援だろうか?チンピラ達がどんどんやってくる。
幻ははあ、とため息を吐いて。
「クソ……挟まれちまった。」
「幻……あの……。」
「話は後だ。それよりこの状況をなんとかしないと……。」
幻はそう言ってポケットから
「ここは鉄脈術で凌ぐ。柊、頼むぞ。」
「幻……でも私……。」
「……思い出したから。」
「え?」
幻は何となく、昔よく見せてくれてた笑顔で私に話しかける。
「お前は俺の魔女なんだろ?昔からそうなって、って言ってただろ?
美羽?」
私はその名前で呼ばれて胸が痛くなった。でも……。
私は助けに来てくれたヒーローに笑顔で。
「幻。今の私は柊未来だよ?それでも……。」
「!チンピラ達が来る。
行くぞ!」
幻は話を遮ると再び真面目な顔になる。そうして
「
」
「
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