あなたがくれた光 [毎日執筆中・コメントいいね待ってます☺]
堕天使ちゃん
プロローグ ママ
.
最近、ママの機嫌が良い。
新しい彼氏でもできたのだろうか。
今日は久しぶりにテーブルの上に夕食が用意されている。
「ママ、これ食べて良いの?」
「あ、それユリアの分よ、温めてね。」
今日の私たちは仲の良い普通の親子だ。
.
.
.
私が4歳の時、パパとママは離婚した。
今も覚えてる、ママの叫び声とともに割れるキッチンの皿、優しかったパパが声を荒げる姿。
三人で暮らしていたマンションから、パパがいなくなった日。
1日中泣いているママの後ろ姿。
いつもあった場所から無くなった、家族写真。
私は小さいながらにして、私たちに何かひどいことが起こったのだと感じていた。
.
.
.
ちょうどその頃から、ママは精神的に弱り始め、私に暴力を振るうようになった。
身体的な暴力も勿論だが、言葉の暴力が私にはひどく応えた。
ママの言葉は私のすべてを否定した。
その日は泣いても謝っても何をしても許してもらえないのに、翌日になるとコロっと態度が変わり優しくなるママ。
中学生になって他の子達の恵まれた家庭環境を知り、そこで初めて自分の家庭が皆んなとは違うことを知った。
でも私には、ママしか居なかった。
中学、高校では、女の子からの陰湿ないじめに遭った。
つらくて毎日起き上がるのも苦しかったけど、ただひたすら一人で耐え続けた。
学校で負った心の傷が癒えないまま、容赦なく家でも増やされる深い傷。
小さい頃から、少しずつ少しずつ拡大していくその心の傷は、一生消えることはないだろう。
死にたいと思った夜は数え切れない。
.
.
.
誰か一人でも私に愛をくれる人が居たなら何か違ったのかもしれない。
でも私の世界にはママしかいなかった。
ママに嫌われたくない、ママに愛されたい、ママが正しい、そんな考えは今も染みついていて、一切逆らうことは出来ない。
パパとママが離婚してから15年、私はもう19歳。
パパとは15年間会えていない、どこにいるかも分からない。
会いたいと思うことはあるけど、ママに聞くことなんか出来るわけもなくて。
ママが私のことを本当に心から愛してくれているのかは分からない。
けど、私はママのことが好き。
.
.
「何であたし、お前生んだんだろ」
.
.
たとえ何回そう言われても。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます