勘違いから始まる異世界転生無双

只今 奮闘中

第1話 目覚めれば異世界

「うっ!?」


 此の物語の主人公で在る国道甚八くにみちかんぱちは、自分の体を誰か知らない者がまさぐっている感覚を受けて意識を覚醒させた。


 大学を卒業し運良く中小企業へ就職し社会人に成り一人暮らし生活を始めて早二年目。


 産まれて此の方、彼女無しの人生を生きて来た自分の体を誰かがまさぐって居ると言う感覚に気付いた彼は、眠って居た意識を低い呻き声と共に覚醒させた。


「わきゃっ!?」


 目を覚ました彼の目の前には巨大な老婆が居た。


 驚きの余りに彼は悲鳴を上げたのだが、何故か彼の其の口から出た悲鳴は可愛らし赤ん坊の泣き声で有った。


 驚きの光景から数日後、彼は自分が異世界へと転生した事に気付く。


 意識が目覚めて初めて見た巨大な老婆は、赤ん坊に産まれ変わった彼を取り上げてくれた産婆で在る。


 そして産婆さんは、彼が出産された後も度々訪れて赤ん坊の彼と彼を産んだ母親の容態に問題は無いかと往診に来てくれて居た。


 赤ん坊に産まれ変わった彼が、自分が産まれ変わった先の世界が異世界で在ると言う現実に気付いのは、往診に来た産婆で在る老婆が、何か呪文の様な言葉を口ずさむと次の瞬間、手から光る玉を造り出して暗い部屋を照らし出したの見たからだった。


 更に彼は、初めて見る其の魔法に驚くと同時に産まれ変わる前の自分が何故、死んでしまったのかと言う死因も思い出した。


 年末、会社の忘年会にてお調子者の彼は酔った勢いで一発芸のオナラでラッパを吹くと言う下品な笑いを取ろうとした。


 処がラッパが近くに売って無かった為に彼は仕方無く有り合わせでブブゼラ(※アフリカの金管楽器で長さ1メートル在る)を購入した。


 そして酒の席にて彼はペロンとお尻を丸出しにして、アヌスのホールにブブゼラの吹き口をセットオンした迄は問題無かったのだが、酔って居た彼は其処でフラついてドスンとおもいっきり尻餅を着いてしまった。


 ズブリッ!!


「ア~~~ーーッ!?」


 騒がし酒宴の中に彼の口から放たれた鳥が〆られる最期の断末魔の様な悲鳴が響き渡る。


 ・・・悲劇で・・・有った。


 もし彼がブブゼラでは無くチャルメラ(※ブブゼラ寄りもだいぶ短い金管楽器)を使って居たら彼は死ぬ事は無かったかもしれない。


 しかし運命は皮肉にも彼にブブゼラを選ばせてしまったのだ。


 酒宴に居た者達は一気に根元まで突き刺さったブブゼラを見て一瞬の沈黙。


 そして手品かな?と思考を停止させた。


 しかし現実は否応なしに其の残酷な真実を見せ付ける。


 尻餅を着いた彼の其のケツから停まって居た刻が動き出した様にドバッ!?と音を発て真っ赤な血が酒宴会場の床に広がったのだ。


 絹を引き裂く様な悲鳴と飛び交う怒声、正に阿鼻叫喚の光景が会場に繰り広げられた。


「メェディ~~クッ!!(※衛生兵の事)」


 最期に其んな誰かの悲痛な叫び声を聞いて彼は死んだ。


 そして気が付くと彼は此の異世界へと転生したのだった。

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