第17話 俺なりの考察
No17
俺なりの考察
翌日は、ギルド職員の人がプリンの販売を担当してくれた。売上はギルドに納める分を抜いて俺の口座に入れてくれた。もちろん、確認はしたし報酬のプリンは前渡しにした。
これで、夕方までの時間は稼げた。今日は、街で防具や武器を買いに行く。ついに、俺の異世界無双伝説のはじまりか?
いや....ないな....
こっちの世界に来てワクワクドキドキで毎日を必死に生活していて気づくのが遅れたのは、まぁ仕方がない、と思う。
この世界に、スキルやレベル、経験値といった異世界ファンタジー定番な設定は何一つなかった。ステータス的なものは視覚できなかった....
最近、プリン販売やギルドの食事処での仕事で顔を覚えられてからは、お客と話をする機会が増えた。
その会話からある程度の世界常識を手に入れた。その話を元に推測すると先の言葉になる。
ゲームやアニメの世界感だが、自信のパラメーターや能力を知る技術はなかった。
魔物を倒しても経験値を得るわけじゃないし、まして超常的な力を得る訳じゃなかった。
ただ、単純に研鑽と努力を用いて強くなるだけだった。
魔法があるだけで超常的な世界だけどな...
文明の発展は、前の世界とは違う。基礎的な部分は近代中世に似ている。しかし、生活の水準は高い。上下水道設備に電気に代わる魔導具などがあった。
機械文明の発展ではなく、魔法と魔導具で発展した文明世界だと俺は思っている。まだ、1ヶ月ほどの暮らししかしていないが、異世界に来た実感は強く感じていた。
そんな事を考え歩きながら街中を見て回った。
メイン通りにある武器屋や防具屋をひやかしながら自分に合いそうな装備を探すがピンと来るものがない。
今の俺の攻撃手段といえば魔法だけだ。特に体を鍛えていたわけもなく、平々凡々な暮らしをしていのだから当たり前だ。
まぁ、ゲームの世界ではソコソコ無双したけど....
なので、ゲーム知識、ファンタジー知識をもとに自分の装備を選ぼうとしてるんだが....
この世界の戦闘基準がイマイチ分からない。
実際、戦った? のは、角ウサギだけなのだから。あとは、ギルドの食事処に来る冒険者の話を聞いて想像するだけだ。
「魔法なら、やっぱり杖とローブか? あとは護身用に短剣か?....」
魔法の鍛練はしてるが、攻撃魔法的なものはいくつか発動できた。木の的を用意して威力の確認はしたが.....
「本当に倒せるかは、実践してみないと分からないしな...」
アッチコッチを練り歩きながら店を見るが、選び方が分からないので今日は下見だけにして、あとは街の散策にした。
魔導具を扱ってる店にも入ったが、値段が高すぎてかなりビビった。なんせ、どれも金貨数枚から数十枚の値段だ。全然、手持ちが足りない。
1日の収入が銀貨8枚ほどだ。そこから、プリンの材料費どギルドに払う契約料を引くと銀貨5枚程が手元に残る。そこから宿台に昼の食事代、雑費を引くと銀貨4枚とちょっと。
これが、純利益になる。ちなみに、フライトポテトの販売権利の収入はすべて貯金に回して、ギルドの口座だ。
1日で銀貨4枚の収入は、一般人としてはかなり高い。魔石に魔力を補充する依頼報酬もあるが、こっちも貯金口座に回してる。
こっちに来てからはすでに働きつめで、総資産は、小金貨8~10枚はある。だいたい20数日は働いてるからな。前の世界の価値に戻すと80~100万ほどを1ヶ月で稼いだ事になる。
が、これが、冒険者だけの家業ならそうはならない。食と住なら安く済ませられるが、衣に関しては安く出来ない。服にしても一般人が着るような服じゃなく、冒険に適した丈夫な服に、武器に防具、治療薬、旅具など、用意するものたくさんあるし、定期的なメンテナンスも必要だ。
あとは、ケガをおった場合の生活費に治療費、冬に向けての貯金などだ。
冒険者は月に多ければ金貨1枚以上は稼ぐらしい。その内の半分が何かしらに消えるそうだ。ただし、一攫千金も夢ではなく、珍しい魔物の素材や稀少鉱物、稀少植物などが手に入れば稼ぐ金額も桁が変わるのはザラだと、ある冒険者は言っていた。
話だけなら夢のある、浪漫がある話だ。
今なら、資産で装備を整えて本格的な冒険者を目指せるが、あと2ヶ月もすれば、氷雪季になる。冬だな。
ハルジオンの街というか、アーガニウム国がある地域は季節が4つ存在する。
花風季、火水季、水風季、氷雪季なる4つだ。大体どの季節も60~90日ぐらいで移り変わり、今は水風季の終わりになる。
冒険者は、氷雪季はほぼ依頼をしないそうだ。寒くなると体が動きづらく、命の危険が跳ね上がる。緊急性がない限りは食って飲んで遊んでの暮らしになるそうだ。
金がない冒険者や氷雪季でも活動したい冒険者が依頼を受けるぐらいだ。
俺も寒いなか魔物に追われたり、凍えながら薬草採取や薪拾いはしたくない。
なので、冒険は花風季になってからで...氷雪季に売れる新作メニューでも考えるかな...で、装備資金を貯めるのが今の目標か....娼館にも興味があるけどね!
「さて、異世界ファンタジーで何か使えるネタがないか考えるか!」
俺の異世界無双は繰り越されました....
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます