第14話 フレンチトースト
No14
フレンチトースト
プリンの増産ね.....確かに売れ行きは上々だしそろそろ新作も作りたいが人手が足りないな....
魔法も教えてもらったし、その練習もしたいしな....今度は人手で悩みか...やりたい事はたくさんあるが時間がないんだよな...
出来れば、プリンの仕込みと販売だけにしてあとは魔法の練習に時間を使いたいんだけど....
レシピはまだ、表に出したくないし...やっぱり奴隷か? でも、ギルド内で奴隷を使ってプリンの販売は体裁がよくないか...
販売日を減らすか...一応、ギルドとの契約上は問題ないが念のためフローラさんに相談するか....
と、考え事をしながら、朝食を食べてから冒険者ギルドに向かった。
「おはようございます、すみませんがフローラさんに取り次いでもらえますか? セイジロウが相談があると言ってもらえれば伝わると思いますが...」
「はい、少々お待ちください」
今日は、アリーナさんが受付にいなかったので違う受付嬢に話をした。
アリーナさんは休みか?
考え事をしながら待っていると、
「セイジロウさん、お呼びだと伺いましたが?」
「すみません、朝から。実はプリンの販売について相談がありまして....フローラさんに頼りたいのですが、良いですか?」
「.....しょうがありませんね。相談にのりましょう。では、個室に行きましょう。」
フローラさんは、二言三言を受付嬢に話をすると、個室に案内された。俺とフローラさんは席に座ると単刀直入に話を伝えた。
「実は、プリンの販売日を減らしたいのです。ギルドとの契約上は問題ないようですが、念のためフローラさんに相談しようと思いまして....」
「プリンの販売に問題があったのですか?」
「いえ、実は魔法の練習をしたいと思ったのですが、一日のほとんどをプリン販売と夕方からの食事処の時間に使ってまして、個人の時間が取れないのです。そこで、プリンの販売日を一日おきにして空いた時間を魔法の練習に充てようかと....」
「夕方の依頼を取り止めたらどうですか?まぁ、私が言うのもなんですが....」
「それも考えたんですが、収入を考えると食事処の方もやりたいのです。それに、私が居なくなればビルドさん達が困りますし...プリン販売なら私だけしか困りませんしね」
「....そうですか...分かりました。特にそれで問題ないと思います。ですが、セイジロウさんはもう少し自分の自由にやってもらって構いませんよ。自由すぎるのも困りますが、食事処もプリン販売もセイジロウさんは重く考えすぎだと思いますが....」
「大丈夫ですよ。なるべく考えてますから....では、そのようにしてみますね。また、困ったら相談させて下さい」
と、フローラさんにお礼を言ってからプリンの仕込みに向かった。
よしっ! これで時間が出来たぞ。明日からは早速魔法の練習をするぞ!
俺の時代がきたか? 異世界でヒャッハーか?
やっちゃうよ、異世界無双しちゃうよ!!
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って、考えてた自分が恥ずかしいです。そんな簡単じゃないですね、異世界ファンタジーは甘くなかったですよ.....
魔法、甘く見てました....
魔力が足りません。なんだよ、異世界無双って....日本人は魔力が多いんじゃなかったのかよっ!!
相談してから三日、俺は時間があればひたすら魔法を使った。フローラさんに借りた本を隅から隅まで読んで知識は得たが実力は上がらなかった。
魔法の発動や種類は増えたよ。指先の火や水球、風も起こせるし、土も出せた。が、すぐに魔力が尽きる。魔力が尽きると体が一気にダルくなる。熱を出して風邪で寝込んだみたいな感じだ。
大体、三回ぐらい魔法を使うと魔力切れになる事が分かった。それから、2、3時間大人しくしてると魔力が回復するが一回使うと尽きる。
完全に魔力不足だ。これを何とかしないと魔法の使用回数が増えない。異世界ファンタジーなら魔力を限界まで使って回復、使って回復を繰り返せば魔力が増えるんだけど....
増えない....借りた本にも魔力の増やし方は載ってなかったし....はぁ....
また、フローラさんのトコに行くか....でも、何度何度も行くのも嫌われるか....それはイヤだな...せっかく、知り合った美人だ。日本にも美人はいたがフローラさん程の美人はみんなテレビの中だけだったし、出来れば嫌われたくないな。
ここは新作で好感度アップを狙うか....
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「で、女将さん。新作の甘味を作るので調理場を借りたいのですが....試食はもちろんしてもらいますよ」
「はいっ! どうぞ、使ってください! あなたーーっ! セイジロウさんに、調理場を貸してあげてっ!!」
という事で、第2段ですね。
「またかよ....今度は何を作るんだ? あのプリンは旨かったから今回も期待できるのか?」
ダートさんが呆れながらも次の新作にちょっと興味を示してくれていた。
「はい、今回は"フレンチトースト" ですね。甘く作った液体にパンを浸けてフライパンで焼きます。あとは、干した果実や果物を切って彩れば出来上がりですね。」
「聞くと簡単にそうだが?」
「作り方は簡単ですが、パンに浸す液体はプリンの原料ですよ。なので、プリンの原料のレシピがなければ作れませんね」
「かぁ~~、良く考えてやがるな! まぁ、良いだろう、適当に使えっ!!」
「ありがとうございます、試作は多く作りますから女将さんとシーナさん、ニーナさんで食べて下さいね。」
と、試作に入る。って言っても特に難しい事はない。フライパンにバターを軽くひいて、プリン液につけたパンを焼くだけだ。
しばらくして宿内に甘い匂いが漂ってきて、匂いにつられて釣れた.......女将さんと、シーナにニーナ。
「お兄ちゃん、何してるのっ!? 甘い匂い何っ!!」
「匂いがあま~い!! 何作ってるのっ!」
「あらあら、いい匂いですね! これは、期待しちゃいますねっ!」
出来立てのフレンチトーストを女将さん達に渡し味見をしてもらった。
プリンに続いてかなりの好評をいただいて、明日の作戦は上手く行きそうだと確信を得た。
夕方まで体を休めギルドの食事処に向かっていつも通りに仕事をこなして宿に戻り、食事を食べて就寝だ。
明日は新作のフレンチトーストで好感度アップだ!
ちなみに、女将さんから宿の夕食時にエールをサービスしてくれた。フレンチトーストのお礼だそうだ。ラッキー!!
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