世間での文章関係の事件考察
よるもあけぼの
第1話 厚生労働省 人生会議PRポスター(2019年11月)
ポスター内容
お笑い芸人が病院のベッドで死にそうな状態で家族に「大事な事を伝えておけばよかった」と後悔する表現。もしもの時のために、事前に家族と「望む医療やケアを話し合っておこう」という人生会議(アドバンス・ケア・プランニング(ACP))の啓発ポスター。
「命の危機が迫った時、想いは正しく伝わらない。」とのキャッチコピー。ポスター上部に「付き添いのおとんのすべった話が笑えない」などの不謹慎テイストな文章もあり。
顛末
「患者や家族の心情に配慮がない」「ACPへの誤解や、死への不安を煽る」などのクレームを受け、ポスター掲載を中止。
考察
このポスターの何が問題なのか?
・公開範囲によって、受容範囲は異なる。
まず「公共ポスター」「医療機関で掲示するポスター」と「お笑い番組や舞台などでのネタ」では、受容される範囲が異なってきます。お笑い番組や舞台であれば、多少不謹慎なネタでも笑って済む、ブラックなネタのお笑い自体に理解のある人達の場です。しかし、公共ポスターであれば、全年齢で誰が見ても不快でないもの、まして医療機関で掲示されるポスターは、患者や家族への配慮が重要視されます。
萌えイベントで巨乳ポスターは許されても、公共献血での巨乳ポスターは大問題なのと同様です。
(「宇崎ちゃんは遊びたい」×献血コラボキャンペーンに批判殺到事件)
同じ内容であっても、時と場所により評価は変わります。
・ガチで死にそうな時に、死にネタは笑えない。
自身や身内が死にそうな時に、それをネタにされたら最悪です。病院に貼ってあったら「死への恐怖が増す」「人生会議をしておかないと酷い目に遭うと誤解する」などの悪影響も出ます。
人々の恐怖を必要以上に煽る事で、人生会議を普及させようと誘導するのではなく「気持ちよく、やる気を出させるもの」であるべきです。
・「命の危機が迫った時、想いは正しく伝わらない」って言い切るのは失礼。
これは、命の危機が迫っている人や、命の危機が迫っている人の家族から見れば「ふざけんな」と感じます。臨終の際まで意識がしっかりしていて想いを伝える人もいますし、肉体が動かなくても視線などで意思を伝える方法もあります。努力して想いを伝えようとする人達に対して、それをひとまとめに「無理」や「無駄」って言い切るのは失礼です。
・モデルであるお笑い芸人が若い。
どれだけ人生会議をして最善を尽くしたとしても、モデルの40代で亡くなったとしたら悔いが残ります。人生会議内容は、若い年齢での不慮の事故や病気の際にも使用するとはいえ、高齢者の看取りでのシュチュエーションの方が多いはずです。「若い年齢での突然の死に備えよう!」って、誰も言われたくないですよね。「高齢になって亡くなる際の計画を立てておこう! もしもの場合にも使えるよ!」って言って欲しいです。ポスター自体が「貴方も若い年齢で死ぬから準備しないとヤバイ!」と断定してくるような気分になるのが不快です。特に、乳がん患者など、若い年齢で死と隣り合わせで戦っている人からすれば気分最悪です。
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どういうポスターなら批判されないのか?
・成功例を見せる。(成功例見学)
「やっててよかった人生会議」的に、事前に家族で話し合いをしていた結果、患者本人の意思を尊重して、良い看取りができているみたいなのを、充分に高齢で亡くなっても悔いはない年齢設定のモデルで行う。
・内容の説明と促進する声かけ(紹介・参加呼びかけ)
「みんなもやろう人生会議」みたいな形で内容をわかりやすく紹介して参加を促す。
・質問を投げかける。(初歩体験)
「あなたは、延命治療を望みますか?」など、内容を考えさせるような選択を投げかける。
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分析をして小説に何を活かせばいいのか?
・公開範囲によって、受容範囲は異なる。
小説も全年齢かR指定かで受容表現も変わってきますが、それよりも「読者層」により、表現や好まれる展開も変わってきます。低年齢やライトな読者向けであれば、作品内での用語の解説や、難しい展開を避ける方が良いですし、マニア向けであれば専門用語を多用したり、複雑な展開も好まれます。
純文学層であれば、風景描写や心情描写を長々とするのもアリですが、ライトノベル層なら細かい描写よりもサクサク展開していくのが好まれます。
自作を読まれたいと思うのであれば、どういう人に向かって作品を発表したいのか、どういう人が読んでいるのか、何がウケるのかを意識して、文章を作成する事が大事です。
・ガチで死にそうな時に、死にネタは笑えない。
ガチで死にそうな人がカクヨムを読んでいる可能性は低いですが、ガチで学校で苦労しているインドア系は多くいると想像できます。あまりにもリアルな悩みをリアルに再現するようなテイストは、空想小説に現実逃避したいのに、現実と同じ問題が追いかけてきて嫌になります。日本ならではの自虐小説も一部には好まれますが、空想は空想として「ある程度、現実からかけ離れた方」が好まれます。
また、小説内でもガチな死にネタで笑いを取るのはリスクのある危険な行為です。
・「命の危機が迫った時、想いは正しく伝わらない」って言い切るのは失礼。
小説を書けば、善人も悪人も登場します。良い意見も悪い意見も、作品には登場します。その中で、何を伝えるのか、多様性なのか、断定なのか、など、作品全体としての総意が、どうなっているのかは、考えて書いた方が良いです。同じ意見や同じ結末を繰り返していけば、それが総意や伝えたい事になっていきます。
・モデルであるお笑い芸人が若い。
小説の登場人物の年齢設定や職業設定などが、適切かどうか考えましょう。ロボットパイロットなど、明らかに高年齢の熟練パイロットの方が戦闘力があると感じます。でも、若年の主人公を出したい!って考えるために、超能力が使えるとか、特殊技能があるなど、若年でも高年齢より強い設定を上乗せして、設定を組み上げます。若くて実践経験もない素人なのに、理由もなくチートで強いみたいな説得力のない設定は、読者層によっては非常に不評です。
以上。
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