第30話 にじそうさく(朔良)

 雪が降るほどの寒い夜。

 少女たちは街中を散歩していた。


「なぁ、寒くないか?」

「ん? 全然平気だよ。心配してくれてありがとね!」


 だが、赤髪金目の少女――魔央は不安そうな顔をしている。

 その様子を感じ、白髪緑目の少女――結衣は笑顔で言う。


「魔央の手あったかいし、それに――」


 そして、結衣は魔央と身体をくっつける。

 魔央は突然のことに驚き、目を見開いて結衣の顔を見た。

 すると、結衣は本当に幸せそうに顔をほころばせていたのだ。


「こうすれば二人ともあったかいよ!」


 その言葉を聞いて、魔央は繋いだ手を強く握るのであった。


 ☆ ☆ ☆


「んー……なーんか違うんだよなぁ……」


 朔良は頬杖をつきながら頭を悩ませる。

 今、朔良は『魔法少女になれたなら』の二次創作小説を書いていた。

 なのだが、どうにもいまいちな気がしてしまう。


「うぅ……なんかしっくり来ねぇ……」

「おっ、何か書いてるんすか?」


 朔良が頭を抱えていると、葉奈が元気に話しかけてくる。

 はぐらかす気力もなかった朔良は、葉奈に説明することにした。


「いやー……それがさ――」


 全て話し終えた後、葉奈は興味深そうな顔つきをしていた。

 顎に手を当てて何か考えている様子を見せる葉奈。

 だがその後、葉奈は楽しそうな表情を浮かべながらあることを提案する。


「へー、そうなんすね。んー……それならうちが見てあげてもいいっすよ。こう見えても文を書くのは自信ありっすから!」

「ほ、ほんとか!? ありがとう!!」

「じゃ、早速やっていくっすよ!」

「よろしくお願いしますっ!」


 葉奈の提案に、朔良は目を輝かせながら感謝を伝えた。

 こうして葉奈と朔良の師弟関係が生まれた。

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